あなたの体温と声と 柔しえ/未来設定


杜山しえみは祓魔師の仕事で京都へと来ていた。
正十字騎士団京都出張所の皆と合同での任務という事で一週間程の日程で京都に来ていたのだが任務は無事に完了した。
予定より早めに終わったためすぐに東京へ戻る予定だったがしえみは東京へ戻るのを躊躇っていた。



(――任務で会ったけど、やっぱり普通に会って過ごしたいよ)



任務の後片付けなどをしながら、しえみは任務指揮官である霧隠シュラに尋ねた。
「――霧隠先生、・・・その、すぐ東京に戻るんですよね・・・?」
「あ?戻るけど?なんで・・・ってああ、そうか」
シュラは思い当たったようで納得の表情をした。
「・・・杜山、明日はゆっくり過ごして来い。あたしも京都観光したいし?」
「え?」
「一日こっちで休養するって京都の皆にも伝えておくから」
にっこりとシュラは微笑んだ。



京都の任務で必ずと言っていい程、拠点となる旅館・虎屋。
夕食をもらって部屋でゆっくりしていたら外で呼ぶ声がした。
「しえみちゃん、入ってもええ?」
「!ど、どうぞ!」
ふすまを開けて入ってきたのは、物腰柔らかそうな風体をした青年――志摩柔造だった。
「あ、夕飯まだだった?」
柔造は、まだ団服姿だったしえみを見て言った。
「あ、いえ。先程頂いて今はゆっくりしていた所です」
「そりゃ良かった。入ってもええ?」
「あ、ど、どうぞ」
柔造はふすまを静かに閉めて部屋に入った。
「あ、お茶でも入れますね。どうぞ座っ・・・!」
しえみは部屋にあるお茶のセットから取り出そうとした急須を落としそうになる。



「―――しえみ」



いつもとは違う、低い柔造の声が耳元でした。
「じ、じゅう・・・っ!」
しえみはあまりにも近くで柔造の声がしたため、固まってしまう。
そう、柔造はお茶を用意しようとしたしえみを背中から抱え込むように抱いたのだ。
「だ、誰か来たらどうすっ・・・」
「しえみ」
柔造はしえみの言葉を遮るように名前を呼び、さらに腕の力を強めた。
「・・・今は仕事でも任務中でもないし、敬語なんて使うな・・・」
「柔造さん・・・」
しえみは体の力を抜き、自分の胸の前に組まれた着物と袈裟に隠れたしっかりとした腕に手を添えた。


「しえみ、会いたかった」


「―――私も、柔造さんに会いたかった」
しえみは柔造の手に自分の手を重ねて優しく包むように握りしめた。
「同じ任務に出てたけど隊が違うさかい時間も場所もすれ違いやし、心配やった」
「私だって連絡しても繋がらないし、前線で突っ込んでいく性格だし心配だったんだよ?」
「あー・・・堪忍、連絡する時間がなかった」
「分かってる。・・・怪我、してない?」
「ご覧の通り、してへんよ」
「良かった」
しえみはこっそりと柔造に体を預ける。
柔造はそれを感じ取り、しえみの胸の前で組んでいた腕を一度解いて座り直し、しえみを再度抱えてお腹の前で腕を組む。
柔造の心音を聞いて、しえみはようやく満たされた気がした。


しばらくお互い黙ったままで抱き合っていた。
その沈黙を破ったのは、柔造の方だった。
「・・・明日、暇か?」
「?」
「もう一日、京都にいるってシュラさんから聞きよってな?休みだと言ってたから」
「あ、そうなの・・・柔造さん、あの」

「「俺と(私と)一緒に過ごさへんか?(しませんか?)」」

「!」
2人の声が見事に重なった。お互い言葉に詰まってしまったが、同時に吹き出した。
「なんや、一緒の事考えとったんかいな。しえみ、京都の街を歩きたいって言ってたし案内したるわ」
柔造が笑いすぎて涙が出るのを堪えながら言った。
「え、でも私、今回任務だったから着替えしか持ってなくて着て行ける洋服ない・・・」
「それなら大丈夫や。おかんに頼むさかい任しとき」
にっこり笑顔で柔造が言う。もう一度、しえみを抱きしめてから柔造はしえみを離した。
「ほな、9時頃にウチ来れるか?」
「あ、うん」
「じゃあ、明日な?」
「うん」
しえみは明日が来るのを楽しみにしつつ、柔造と別れた。


翌日、白地に花柄の着物を来た金髪の女性と彼女に合わせるように薄い灰色地の着物を着流した長身の黒髪の男性が楽しそうに京都を歩く姿が目撃されたとか・・・。


end.



ずんだ様へ
とても素敵な小説を頂き本当にありがとうございます!!m(__)m
柔しえあまりにも嬉しすぎて鼻血を吹き散らかしてしまいました!止まりそうにありません。止まらなくていいです幸せです!
甘い雰囲気の柔造さんの色気にくらくらしました(*´ν`*)にやにや
そしてしえみちゃん可愛いさといったらもう…もう…!!←落ち着かないか
とにかくヒイヒイ言いながら悶えました!たまらんです!!(*´ε`*)可愛い!!!
ずんだ様の書かれるしえみちゃんとってもとーっっても大好きです!頬擦りしたいですぐりぐり(←逮捕〜)
教えて頂いた裏設定に更にヒイヒイ言って萌えまくりました!!考えただけで動機が激しくなります!!あああ幸せ!!!
こんなにも素晴らしいものを頂いて、私は本当に幸せ者ですm(*;∇;*)mずんだ様、いつもたくさんの萌えをありがとうございます!!
改めてまして、これからもどうぞ宜しくお願い致しますm(__)m

ありがとうございました!!
ずんだ様ラブ!ヽ(*´∇`*)ノ


「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -