「…行きたくねぇ…」
「お前が悪いだろ。教師がいる前で堂々とサボるとか、お前アホじゃねーの」
「…」
言い返せないのが痛い。
「美形センセーと個別授業なんて他の奴にとっちゃぁゴートゥーザヘブンだろ。いーじゃんウラヤマシー」
「…俺は異性愛者だし言葉に感情こもってないんスけど」
睨むように慎司を見れば、ニッコリ笑われた。しかも手まで振られた。なんだコンチクショー!
半ばムリヤリ慎司に教室を追い出され、向かう先は俺の嫌いな場所。
なんでこんな放課後特別個別指導なんてクソ面倒なことになったかというと、これもあの転校生のせい。
俺の大事な寝床が無くなり、致し方なく使っていない教室で寝ていたところをその教室の管理人である国語教師に見つかったのである。
ハッキリ言って、俺は国語が出来ない。文章力も皆無という悲劇的な理系男子だ。
そのせいもあり、以前からマークされていた国語教師に捕まり、授業をサボった罰としてこうして毎日国語教師と楽しい楽しい個別指導をするハメに。不運もいい加減にしろよ。