1/2 コンコン、と扉を数回叩く。 「イタチ様、ナマエです。」 そう告げると中から入室の許可が下った。 それを確認し、中へと入る。 彼の部屋は殺風景で特に変わったものなどない。 そもそも本人が部屋にいることが少ないのであまり模様替えなどに興味がないのだろう。 「失礼いたします…イタチ様、サソリ様からのお薬です。」 「あァ…いつもすまないな。」 申し訳なさそうに眉をハの字に下げて彼は微笑む。 ベッドに横たわっている彼は、またこの前より痩せ細ったように見えた。 「お気になさらないで下さい、これくらいイタチ様の部下であれば当然のことです。」 「ありがとう…、っゴホ、ゲホッ…、」 「!イタチ様…!」 苦しそうに咳込む彼の背中をさする。 また無理をしたのだろうか。 パートナーの七人衆のあの人は一体なにをなさっているのだ。 「イタチ様、ご無理はなさらないで下さい。」 「…大丈夫だ、心配するな。」 「後でお食事をお持ちいたします、他になにかありましたらお申しつけ下さい。」 「あァ、ありがとう。」 弱々しくお礼を言われる。 見ていて身の回りの世話程度しかできない自分が嫌になった。 イタチ様はずっと1人で無理をしてきた。 たった1人で憎まれ役を買ってでたのだ。 私はそんな彼に惹かれ忠実な部下としてここまでついてきた。 恋仲になりたい、想いを伝えたいなどとそんなことは一切考えてはいない。 ただ彼の傍に置いてもらえるだけで…私はこれ以上ない幸せを感じていた。 「…弟様の、元へ……?」 「あァ。」 「………そうですか。」 別段驚きはしなかった。 これは決して避けられないことだから。 「驚かないのか?」 「いつかは来ると思っておりましたので。」 「そうか。」 「私は止めません、あなたがそれを望むのであれば…私はそれに従うまでです。」 イタチ様に跪く。 これも、これで最後になるのか。 「…お前には世話になった。」 「……………。」 「それから迷惑をかけた…すまない。」 「……………。」 「こんな俺を慕ってくれて、ありがとう。」 儚く笑った彼。 私はそれを見て苦しくなった。 イタチ様の笑顔が見られたというのに、温かい気持ちなど微塵もなかった。 「…ナマエ、お前がそんな情けない顔をするな。」 「……………すみません…。」 「こうなることは分かっていたんだろう?」 イタチ様は跪く私の頭にポンポン、と手を乗せる。 また胸が締めつけられた。 [*前] [次#] |