NARUTO短編集 | ナノ





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『我愛羅様。』





『ナマエ…ナマエ、おれは、』





『私は大丈夫です。落ち着いて下さい。』





『…ナマエ、おれはまたお前を…、』





『これくらいかすり傷ですよ、なんの問題ありません。だからそんなに泣かないで下さい。』







カタカタと震える小さい子供。



私はそんな彼に優しく微笑みかける。








『ああ、もうそろそろ夕食の時間ですね…我愛羅様、今晩はなにが食べたいですか?』

『……………なんでもいい…ナマエが作るものは……なんでも美味いから…。』

『おや…ふふふ、我愛羅様はお世辞がお上手ですねェ。』

『お、お世辞なんかじゃないぞ、本当にそう思ってる。』

『ええ、ありがとうございます。』


少し必死に訴えてくる彼が可愛くて仕方ない。

世間では尾獣の守鶴を宿しているためひどい扱いをされているが…本当はこんなにも素直で子供らしいのだ。










私だけが知っている、本当の彼。



それには少なからず優越感を感じている。



彼の父親も、ご兄弟も知らないことだ。





『ナマエ…。』

『はい、なんでしょう。』



不安気に見上げてくる我愛羅様。

彼以上に優しい子供を私は知らない。



『本当に、痛くないか…?血が、止まってない…。』

『ふふ、私が血の気が多いだけでなんの問題もありませんよ。』

『そうなのか?』

『我愛羅様は心配性ですね。』






いつだって私のようなただの世話人を気遣ってくれる。


誤って傷つけてしまったときは、半べそをかきながら謝罪する。


食事のときなんか作ったものに文句を一言も言わず、たとえ苦手なものがあったとしても残さずきれいに食べてくれる。

普通の子供よりも偉いと思う。









『ナマエは…、その、あの…、』


『我愛羅様?』












『…なんで、皆はおれを嫌うのに…お前は離れないでいてくれるんだ……?』








…これが子供の問うことなのだろうか。




その事実に胸を痛めながらもにこりと微笑んで優しく答えた。











『我愛羅様を愛しているからですよ。』











あなたを、愛しているから。






夜叉丸様に裏切られたと鬱ぎこんでしまって、


加琉羅様に愛されていないと勘違いをして、





そんな彼を変えたいと、誤解を解きたいとは思うけど…



もう…私の言葉で変えられる程の浅い傷ではないから。












『ナマエ。』





彼が私の手をきゅ、と握る。





『なんでしょう、我愛羅様。』





そんな彼の小さな手を握り返す。














『…お、おれも、お前のことだけは…あ、愛して、る。』











紅色に染められた頬でそう言われてしまえば









『………それは、光栄です。』












そう返して、笑いかけることしかできなかった。







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