1/3 『永久の美こそが芸術だ。』 あの方はいつもそう仰っていた。 私もそんな彼に同調した。 「サソリ、様………。」 信じたくない。 彼は強い。 負けるはずが、ないのだ。 そうでしょう、サソリ様。 『サソリが死んだよ。』 『木ノ葉ノ連中ニヤラレタ。』 ゼツ様からそう聞いたときは頭が真っ白になった。 微かに残っていた理性を叩き起こし、居場所を訊ねてすぐさまそこへ向かった。 横たわっていた赤い人。 それを抱きしめている2体の傀儡は、彼の両親なのだろうか。 「…サ、サソリ様……ナマエです、起きて下さい…。」 返事はない。 「頼まれていた、薬草を持って来ました、希少薬草も頑張って、」 微かな希望の光を求めた。 「く、傀儡のメンテナンスでもしませんか?お手伝い、いたしますから…、」 しかしそれは脆くも崩れ去る。 彼は反応すら示してくれなかった。 「……………サソ、リ様……っ、」 お願い、お願い。 『俺の名はサソリ…今日からお前は俺の部下だ、足手まといになるようなら殺す。』 『早くしろ、俺は待つのも待たせるのも嫌いなんだ。』 『…ったく、手間かけさせんな、バカ。』 『………よくやったな、ナマエ。』 『お前を傀儡にして、傍に置いておきてェな…。』 私を傀儡にして下さるのでしょう。 あなたのためなら、それでもいいと思ったのにどうして。 『愛している、ナマエ…。』 「サソリ様………っ、」 起きて、起きてよ。 私を遺して、逝かないで。 嫌、嫌だ。 こんなにもあなたを想っているのに。 私はどうすればいいの? 「サソリ様、サソリ様っ…お願いです、起きて下さい、お願いです…起きて……!」 起きないあの人の顔を見るのが怖くて。 私は無駄だと承知の上で声が枯れるまで呼び続けた。 そんな私をデイダラ様が迎えに来たのは、数時間後のことだった。 [*前] [次#] |