1/2 ※学パロ 私には後輩がいる。 うるさくて『芸術は爆発だ!』とか『一瞬の美』とか言っててちょっとバカな後輩。 でも明るいから男女問わず人気。 ていうか女子から人気。 そんな人気者だけど私からすれば犬みたい。 だって私の後ちょこちょこついて来るし。 ほら、今だって。 「お、ナマエ!どこ行くんだ、うん?」 「購買。てか先輩、もしくはさんづけしなさい。」 「いいじゃねェか別に。ナマエはナマエだろ、うん。」 この金髪髷がデイダラ。 なんでも入学式で私を見かけたらしい。 それから懐かれた。何故だ。 俺も購買行く!とにこにこしながら言うデイダラ。 いやいやいやちょいお待ち。 「デイダラ、後ろにいる子達は?」 デイダラの後ろに女の子達が2、3人いた。 その子達にさっきから睨まれてるんだよ。 多分後輩なんだろうけどさ、すごい怖いよ。 私超能力者じゃないのに心の中が読めるよ。 『私達が先に話してたのに横取りしてんじゃないわよ』って思ってるよ、絶対。 「そんなことより早く購買行こうぜ!なくなっちまうぞ!」 「え、ちょ、」 「オイラも腹減ったんだ!早く行くぞ!うん!」 おいおいデイダラさんよ女の子にそれはないんじゃないのって思ってる間に手握られて購買に向かってた。行動早い。 あの女の子達の目、マジで怖かった。 なにもなきゃいいんだけどな。 …まァ、そうだよね。 なにもないわけがないよね。 「あんた、デイダラ君のなんなの?」 「いつもいつもデイダラ君にまとわりついててさァ。」 「先輩だからってなんでも許されるわけじゃないんだからね?」 いやいや重々承知しております。 デイダラが、いやデイダラさんがどれだけお前ら、じゃなくてあなた方に好かれているかも承知しております。 てか今どき体育館裏とかテレビの見過ぎ。 でもホントに人来ないもんだね。 「なんとか言いなさいよ。」 「そうよ、『ブスなのにデイダラ君につきまとっててごめんなさい』くらい言ったらどうなの?」 ジリジリ、と近寄ってくる後輩3人組。 後輩なのになにこの威圧感。負けた。 後ろは壁、前には怖い後輩。 逃げ場はない。 「早く謝りなさいよ。」 脛を蹴られた。しかもかなり強く。 痛い。 あまりの痛みでしゃがみ込む。 それが、いけなかった。 「失礼しまーす…。」 「………なにしてんだお前。」 「怪我した、診てください。」 「…そこ座れ。」 保険医のサソリはソファを指差す。 私は言われた通りにどかっ、と座った。 「んで?なにがあった。」 膝を消毒しながらサソリたずねる。 うーわ、結構痛い。染みる。痛い痛い。 「……なんでもない。」 少し考えて出した答え。 サソリの目がギロ、と光った。 「吐け。」 「…………………。」 …言える訳ないじゃん。 こんなみっともない話できる訳ないじゃん。 「…ミョウジ。」 「なんでもない。ただ…ただ転んだだけ。」 「顔にまで傷があるんだぞ…知らんふりなんざできるわけねェだろ。」 「いいよ、そのまま知らんふりして。」 「………。」 「…私、アイツには笑ってて欲しいんだ。」 デイダラに泣き顔なんて似合わない。 笑顔の方がいい。 デイダラには笑顔が似合うから。 「…あの髷野郎にそこまでしてやる理由はなんだ?」 サソリの疑問に私はサソリを見る。 …あれ。 なんでだろう。 呼びだしだって痛いのだってホントは嫌だ。 けどだったらデイダラを突き放せばいい。 なのになんでしないんだろう。 「…無意識、か。まァそうだろうな。」 サソリが私の考えを察した。 「……あのな、お前は…。」 サソリの話はなんとなく信じられなかったけど、サソリが言うんならそうなんだろうな。 最後にサソリは『しっかりやれよ。』とだけ言い残した。 [*前] [次#] |