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※半分は会話文です。舞台はあの世。
「…………何処だここ。」
花で溢れかえったそこは、見たこともない程の絶景だった。
心地よい風。
潮風とはまた違った気持ち良さだ。
皆は。
皆は何処だろう。
「ナマエ。」
聞き覚えのある、声がした。
「ナマエ。」
必死にその姿を捜す。
これは、この声は。
「ナマエ。」
立派なリーゼント。
黄色いスカーフ。
大きな傷。
親友のサッチがそこにいた。
「サッチ!!」
「うお!!?」
「サッチ…ッ、会いたかった!!」
ティーチに殺されたあの日以来、夢にも出てきてくれなかったサッチ。
今はこうして抱き締めることができて、体温すらも感じる。
ああ、こうして触れられることがとてもありがたい。
「あっははは…会いたかった、か。あの捻くれ者が随分素直になったな。」
「伝えたいことはその時に伝えるべきだと学習したんだ。」
「……………。」
「後悔する前に…泣く前に。」
「…ごめん。」
「サッチは悪くない、ティーチの裏切りが予測外だったんだ。」
「それにしたってなァ…。」
「それに、ティーチの目論みに気づかなかった私達も悪かった…もし、気づいていれば助けてやれたのに…。」
「もうよそうぜ、折角こうして会えたんだからよ。」
サッチの言葉にナマエは頷く。
「それにしても…ここは何処だ?」
「んあ?お前、自分がどうなったか覚えてねーの?」
「え?……………あっ、」
そこでナマエは思い出す。
エースを助けに行ったこと。
赤犬からエースの弟を庇ったこと。
愛するオヤジと愛しい兄弟達に別れを告げてきたこと。
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