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『よォ、キッド!相変わらずの悪人面だなーむすっとしてねェで笑え笑え!』


『うっせんだよてめェは!!』


『おーおー威勢がいいのも変わらずか、全くあんまり反抗されると兄ちゃん泣いちまうぞ。』


『誰が兄貴だ!!』



俺がまだガキで海に海賊になりたいと憧れることしかできなかった頃、1人の青年が故郷に滞在していた。

名はナマエ。

俺よりも6つも上なくせに、バカでうるさくて無謀なことが好きでいつもいつもヘラヘラ笑ってる奴だった。



『なんだよー感動の再会だろ?ほらほら遠慮するな!』


『手を広げんな!誰が飛びつくか!』


『じゃあ俺から行く!!』


『おいやめ、ってうお!!』



ナマエは俺を思い切り抱きしめてきた。


年上なだけあって、成長期とはいえ俺はすっぽりと収まったしまった。



『お、またでかくなったな。』


『…当たり前だ。見てろよ、今にお前なんざ追い抜いてやる。』


『そうかそうか。いやァ、キッドの将来が楽しみだな。』



頭を撫でられる。

それがとてもくすぐったくて、照れ隠しでナマエの手を払った。





『おーいナマエ!』


『おかえり、ナマエ兄。』


『おお!ボニーにキラー、お前らも元気そうだな!』



幼馴染みであるボニーとキラーもナマエを迎え入れた。



『キッドばっかズルい!ナマエ、ウチにもぎゅーってして!!』


『いいぞーほら来い!』


『わーい!!』



俺から離れてボニーの方に向かって手を広げた。
ボニーも嬉しそうに抱きついた。



『ナマエ兄、今回の航海は長かったな。なにかあったのか?』



ナマエは15のときに海へ出て、その2年後には海賊団の船長になり、その首には1億の金が懸けられたらしい。

元々は東の方から来たと聞いた。



『おー色々とあってな。でも大丈夫だ、大したこたァねェよ。』


『早いな、ナマエ兄達がここを拠点としてからもう3年だ。』


『そうさなァ、クルー達の怪我もだいぶ良くなって後遺症もねェみてェだしそろそろ潮時かもな。』






その言葉を聞いてえ、と小さく漏らしてしまった。


いや、バカか、俺は。

ナマエ達は元々重傷を負ってここに助けを求めて来ただけだ。
それがなくなった今、こんなところにいつまでもいる訳がない。




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