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バイクを走らせて目的地の前でキキッ、と止まる。

目の前にはかなり立派なマンション。
…毎回思うんだけどなんでここに住んでてこんなもの食べてるのか。言い方は悪いが。

右手にまだできたてで恐らく大半の人は食べたことがあるであろうファーストフードを持ってエレベーターに乗り込み、届けるべき階のボタンを押す。

上の階の方なので結構時間がかかる。
持ち手を変えてエレベーターに乗り込んだ。





「(…9…10……、)」


ポーン、と軽快な音が響いた。

ようやく着いた。

ここのマンション高過ぎだよ、私なんて家賃2万のアパートだっていうのに…羨ましい。

羨む気持ちで目的の場所へと向かう。
何回も行っているので大体分かる。







「(904号室、904号室……あった。)」





最早通い慣れたと言っても過言ではない程訪れている場所。

"904"というプレートが貼られているドアの横にあるインターフォンを押した。







…ピンポーン。




暫しの間。




"…はい"




聞き慣れた部屋の主の声が、インターフォン越しに私の耳に届いた。




「ピザーノです、ご注文の品をお届けに参りました。」


"!あ、い、今出る!"




ガチャン!という音がしたかと思えば次は廊下を走るような音。

そんなに急がなくてもピザは逃げないぞ。

ていうかそんなに待ち遠しかったのか、そう思うとなんだか可愛らしい。


するとガチャ、とドアが開かれた。




「こんばんは、いつもご利用ありがとうございます。」


にこ、と笑顔で部屋の主であるキラーさんに挨拶をする。


キラーさんは少し頬を赤らめながらあァ、と呟くように言った。



それにしてもいつ見ても見事な金髪だ。
ふさふさしていてとてもきれいな髪だと思う。

きっと顔立ちもモデル顔負けなくらいなんだろうな、1度でいいからじっくりと見てみたい。
この人いつも前髪で鼻から上が隠れてるからなー…とても勿体ない。


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