「キラー、名前見てねぇか?」
「知らん、まだ自室にこもってるんじゃないのか?」
「はぁ・・・。」
キッドはため息をついた。
「キッド、ついでだ。呼んで来てくれないか?もう昼食の時間だ。」
「は?俺かよ!」
「お前、名前に何かあるんだろう?ついでだから行ってこい。」
チッとキッドは舌打ちした後、しぶしぶと名前の部屋へ向かった。
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コンコン、
「名前、俺だ。」
しかし、返事が無い。
キッドにとってはこれが当たり前なようで、気にせずしつこくノックをし続ける。
コンコン、
「・・・・・。」
コンコン、
「・・・・・。」
キッドはなかなか応答しない部屋の主に苛立ちが募っていった。
コンコンコンコンコンコンコンコン!
「・・・・・。」
ぶちっ!
額に浮かびあがっていたキッドの血管がぶちっと切れる音がした。
「てめぇ!いい加減でねぇか!!!」
キッドはばんっと荒々しくドアを開ける。
しかし、そこには名前の姿は無かった。その代わりに床に数え切れないほどのの本たちがそこら中に散らかっていた。
「名前!どこにいやがる!」
キッドはきょろきょろと周りを見渡す。見渡しても名前の姿は無い。
キッドは名前が外にいることを考えてみたが、それはないと自分の中ですぐに答えが出たのだった。なぜなら普段名前は部屋に引きこもって本を読んでるからだ。
「名前!」
キッドはそこらへんにある本をどかして名前の捜索をし始めた。
「名前!いるなら返事しろ!」
「ん?何だチューリップ?」
名前は背の高い本の塔にぎっしりと囲まれているところからひょっこりと顔を出した。
「てめぇ・・・、そこにいたのか・・・。」
キッドは本をどかしながら名前のところへ向かう。
「お、おい!バカチューリップ!本を粗末に扱うなバカ!」
「うるせぇ!お前がそこらへんにぽいぽいほったらかしにしているのが悪ィんだよ!その前にな、それもう一回言ってみろ!シバくぞてめぇ!」
「ふん、言ってやるとも、バカチューりップの上に閣下でバカでキッズで筋肉バカだ。どうせなら頭が埋もれるくらいモリモリに鍛えてやれ。」
名前は冷静にキッドの悪口を凝縮させた言葉を放った。
するとキッドの怒りが頂点に達し、すぐに名前の頭に拳骨を食らわそうとした。
しかし、それは当たる寸前でピタリと止まる。
目を瞑っていた名前は恐る恐る目を開けた。すると、また余裕そうな表情に戻り、
「何だ、ビビリなんだな。」
「うるせぇ、殴ったらてめぇが死んじまうかもしれないからな。」
だから、と、キッドは続ける。
「謝ったら許してやる。」
「やだ。」
名前は即答する。
「言えや!、てめぇ!」
キッドも半ば強制的に言わせようとしていた。
「言うか、ばーか。」
名前は楽しそうにキッドの怒る姿を見ていたのだった。
end,
企画サイト「ごめんなさい。」 様 に提出。
参加させていただき、ありがとうございました!