ある日突然私はクラスメイトから見えなくなったようだ。
理由なんてない。
ただ、次の標的が私だったそれだけだろう。
昨日まで仲の良かった子は遠くの方で私を見てクスクスと笑っている。
あぁ、なんて友情とはもろいものか。
というか、彼女と私の間に友情なんてなかったのかもしれない。
朝から放課後までずっと外を見て過ごす。
学校に来てる意味ってなんだろなー。
なんて考えてたら大体1日は終わりを告げる。
バラバラとみんなが帰っていく中私はひたすらに外を見続けた。
世の中ってなんてくだらないのかしら。
心底いやになる。
夕日に照らされる教室の中はもう、私一人しか残っていなかった。
はぁ。
大きくため息をつき机に突っ伏す。
何でこんなことになったんだろう。
何で私なんだろう。
アホくさい。
くだらないくだらないくだらない。
「なんで私、みんなに見えないのさぁ……。」
私の声は静寂により消されてしまった。
ぎゅっと瞑った瞳からはじんわり涙がにじんでくる。
いやだ。
ホントに。
「消えたいよ……。」
そう呟いたとき――――





「オレにはちゃんと見えてるぞ。」





頭上から声が振ってきた。
「だから、消えたいとか言うな。」
私はバッと体を起こして声の主を確認した。
「す、やまくん……。」
目の前に立っていたのは野球部の巣山君だった。
「冴木はちゃんと見えてるよ。」
そう言って彼は私の頭に手を乗せた。
その瞬間私の目からとめどなく雫が零れ落ちた。
「オレだけは何があっても冴木が見えなくなるなんて事は絶対にないから。」





君に見える透明





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回遊魚


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