「あの〜、阿部さん?」
現在の状況を説明いたしましょう。
ここは体育館裏で、めったなこと人が来ない。
まして、今は授業中。
人が来るはずなんかない。
そして、私の顔を閉じ込めるかのように阿部は壁に手をついている。
で、まぁ、彼との顔の距離は20pくらいと近い。
「私、何かしました?」
と、聞きたくなってしまうほど怒ってらっしゃるのです。
はい。
怖いです。
こんなに怖くても彼氏なんです。
好きなんです!!
なんて近況を友人Aに伝えれば「恋は盲目っていうよね。」と鼻で笑われること間違いなし!!
ホント、私、何かしましたか!?
「おい、壱!!!」
「はぃぃい!?」
いきなり怒鳴られ変な声が出た。
「な、なんでしょう………」
阿部はズイッと顔を近づけてきた。
「お前、2組の矢田に告白されたってーのはホントか?」
矢田?
矢田……矢田………
あぁ!!
テニス部の!!!
「あ、まぁ。」
「で?」
「断りましたけど……。」
私がそう言った瞬間、はぁぁぁぁと阿部が空気を吐き出した。
「まさかとは思いますけど、もしかしてそんなこと気にしてた?」
「オレにとっちゃそんなことじゃねぇンだよ!!」
阿部は私の横に置いていた手を外し、照れたのか頭を掻いた。
「壱は贔屓目に見なくても可愛いし、他の男共に人気あんだよ。」
「はぁ、」
まぁ、信じがたい話ですな。
「告白したのもオレからだし、壱がオレのこと絶対的に好きだってゆう自身がねぇんだよ。」
と、阿部は顔を真っ赤にしながら話す。
なるほどなるほど。
「阿部ってさぁ、私のこといつから好きなの?」
「はぁ!?」
「いいからいいから、」
「5月にケガの手当てしてもらったあたりから……か?」
「なんで疑問形なのよ。」
私はクスクスと笑った。
「私はねぇ、中学2年生の時から阿部のことが好きなんだよぉ。」
そう言ったら、阿部の目が大きく見開かれた。
「片恋歴は私の方が長かったんだなぁこれが。」
「な、あ、」
阿部の顔がますます赤くなってゆく。
「ねぇ、これでも自信無い?」
私はズイッと顔を近づける。
そして、ニッと笑う。
「阿部は私がどんだけ君のことを好きなのか知らないようだね。」
「どんだけ好きなんだよ。」
そう聞かれて、私はへへっと笑みをこぼす。
「誰も想像できないくらい!!」
互いの顔が近くなり、唇に彼の熱が伝わる。





想像できないくらいの好き





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回遊魚


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