「あ、」
「あ、」
バイト中レジをやっていたらクラスで見慣れた人に遭遇した。
「三橋くん。」
私がそう言うと体をびくりと跳ねさせた彼は私から視線を逸らした。
「あ、う、冴木さ、ん。」
チラチラとこちらを見ながらそう言っている。
「三橋くんって家、こっちの方じゃないよね?」
「あ、う、うん。きょ、うは、あ、べくんの家に行ってた!!」
「あ〜、なるほど。」
私は三橋くんから渡されたパンとおにぎりを受け取りバーコードをスキャンする。
「2点で324円になります。」
「あ、はい。」
「500円お預かりいたします。」
レジをパチパチっとうってレジを開ける。
「176円のお返しになります。」
「あ、ありがとう。」
わたわたとお釣りをしまうさまがなんとまぁ癒される。
「最近調子はどう?」
「へ?」
「バッテリーの調子。」
「あ、い、今、阿部くんケガ、してるから、一緒に練習して、ない。」
「あ、そっか。試合見に行ったのに忘れてた。」
その日の試合を私はバイトを仮病を使ってまで見に行った。
なんかもう、全試合なんだかんだ学校に理由をつけて見に行っていたため、見逃したくなかったのだ。
「見に、来てくれて、たの?」
三橋くんの顔がキラキラと輝いた。
「うん。」
「ほ、ホント!?」
「もちろん!しかも、全試合見たよ。」
そう言ったら三橋は頬を綻ばせた。
「う、嬉しい!!」
そう言った彼になぜだかキュンとした。
「次、は、絶対、負けない。から、ま、た、お、応援しに、来てく、下さい。」
「へ?」
三橋くんのなぜだか積極的な発言に驚いた。
だって、自分から応援に来てほしいとか言うような人だとは思っていなかったから。
「も、もちろん!!」
そういうとさっき以上に顔を輝かせた。
今後も全試合見逃せないと私は思った。
そして、勝った時の喜びを近くで共有したいという願望が生まれた。





願望が生まれた日





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回遊魚


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