「え?」
ウソ……
自転車パンクしてる……
これじゃ帰れないじゃないの!!!!!
午後7時30分。
あたりは暗くなり始めた。
「どうしよ〜。」
私はため息をついてその場にしゃがみ込んだ。
自転車で片道40分。
歩いて帰ったら家に着くのは何時になることやら……。
いつもなら親に電話して迎えに来てもらうのだが、現在両親は結婚記念だか何だかで海外に旅行に行ってしまっている。
バスという手もあるが私にはその手は使えない。
なぜなら、私の住んでいるところは少し奥まったところにあり、最終のバスは午後7時24分なのだ。
歩いて帰るしかないか……。
そう思い立ち上がると足音が聞こえた。
「あれ、冴木さんだ。」
誰かと思い振り返るとそこには
「あ、秋丸くん。」
がいた。
秋丸くんは同じクラスの男の子だ。
「どうかしたの?」
「あ、いや、ね、自転車パンクしちゃって………」
「あぁー、冴木さんの家ってどこら辺?」
そう聞かれて私は自分の出身中学校を答えた。
「あ、そっちオレんちの方向だ。」
「へ?」
「後ろ、乗ってきなよ。」
えぇぇぇぇぇぇええええええ!!!!!
「いやいやいや!!悪いよ!!」
「別にかまわないって。」
「えぇ!?でも私重いし!!」
「そうゆー風にはみえないけど……」
そう言われて顔が熱くなる。
「それに、そっち方面だともうバス、出てないでしょ?」
「うっ……」
「女の子が一人で夜道歩くとか危険だからさ、送らしてよ。」
「うぅ〜。」
私がうなっていると秋丸くんは諭すように笑顔で「ね。」なんて言ってくる。
「じゃあ、お願いします……。」
そう言って私は秋丸くんの自転車の後ろに横乗りした。
それから家に着くまで私は緊張でほとんど何も覚えていなかった。
だって、男の子とニケツするのなんか初めてだったから。
それから、数日してから知ったことなんだけども、秋丸くんの家は私の家とは全くの反対方向だった。
これってもしかして……





期待してもいいんだろうか





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回遊魚


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