「阿部ーホームルーム終わったよぉー。起きないのー?」
放課後、ホームルームが終わってから30分が経った。
のに、阿部は起きないで机に突っ伏して寝ている。
「部活始まっちゃいますよー。」
すぅー
はい、起きない―。
「みんな帰っちゃったよー。」
そうなんです。
今、教室で二人っきりなんです。
おいしいシチュエーションなんです。
このまま起きなきゃいいのになぁーとは思うけど起こさなきゃね。
ほっといたらずっとそのまま寝てそうだし。
私もそろそろ帰りたいし。
「阿部、起きてよー。」
くぅー
起きる気配ねぇぇぇえええ!!
「もう、起きてよー。」
阿部の肩をゆすりながら言えばいきなり、
パシッ―――――
手首を掴まれた。
「え?」
あれ?
なんでだい?
なんで掴まれてんだい?
「おーい、阿部さぁーん?」
すぅー
寝てんのかい!!
無意識かい!!
ドキドキが止まらないよ!!
あぁ!!
もう!!
心臓破裂するわ!!
「阿部、起きろ!!」
掴まれてない方の手でバシンと阿部の頭を叩いてやった。
「うぉわぁぁああ!!何すんだよ!!」
「何回起きろって言っても起きないからだよ。」
天誅。そう言って今度はチョップをくらわしてやった。
「ってぇな!」
「てかさぁ、離してよ。」
「は?」
私はそう言って掴まれてる手首を持ち上げた。
「あ?ぇぇぇええええ!?わ、わりぃ!!」
阿部はバッと私の手首を離した。
あ、阿部真っ赤。
「林檎ちゃーん。」
ケラケラ笑いながら言ったら、
「うっせぇ!!」
怒られた。
あぁ、もう!!
大好き!!
「はぁぁぁあああ!?」
「あ、声に出しちゃった。」
てへッ、なんてふざけて見せたら阿部はさらに赤くなった。
「もう、この際言っちゃうね。私、阿部のこと大好き。何よりも好き。」
「お、おま、」
「トーマートー」
「うるせっつの!!」
また殴られそうになったがさっと避けた。
が、それは殴ろうとしたのではなかった。
その手は私の手を掴んだ。
「え?」
「冴木、」
いきなり真面目な顔してどうした!!
「好きだ。ぜってぇ離さねぇから。」
晴れて両想いになったわけだが、
「阿部、部活始まってるよ。」
「あぁぁぁぁぁあああああああ!!」
「いってらっしゃい。」





つかまった





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ヒロインが変でゴメンナサイ^^;


回遊魚


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