後夜祭。
みんながキャンプファイヤーの周りでフォークダンスを踊っている中、私は遠くからぼんやりとそれを見ている。
火が煌々と輝く中でみんなの楽しそうな声が響く。
いいなぁ……
そう思いながら壁に背を預けずるずると座る。
向こうにいても、誰にも誘われないまま終わりそうだしなぁ……
それに……
はぁ、なんて俯いてため息をついていたら一つの足跡が近づいてきた。
「冴木。こんなとこで何してんだ?」
声の主は見なくてもわかる。
「巣山こそ。」
「オレは冴木がここでしゃがんでんのが見えたから気分でも悪いのかと思ってよ。」
「巣山は優しぃ〜ねぇ〜。」
なんて私が茶化しながら言ったらゴツンと固いものでおでこを小突かれた。
「なにこれ。」
「やるよ。」
「ありがとう。」
私の頭を小突いた物はラムネだった。
「なんで冴木は向こうで踊んねぇの?」
「私なんか誘われないよぉ。誘われないで一人で向こうにいるのなんか可哀そうすぎるじゃんか。」
「あぁ!!」
「納得してんじゃねぇよ!!」
巣山の肩を軽く叩いてから私は、プシュっとラムネの栓を開けた。
「それにさ、」
ゴクッと喉を鳴らしてラムネを流しこむ。
「好きな人が誰かと踊ってたりしたら見るのイヤじゃん。」
「冴木って好きな人いたんだ。」
「ねぇ、巣山って私のことなめてない?」
「そんなことねぇよ。」
「ふぅん。ま、でもそんな心配いらなかったみたい。」
「は?」
「だって私、巣山のことsうごっ!!」
いきなり口をふさがれた。
誰にって?
もちろん巣山に。
「待って、それたぶん俺が言いたい言葉だから。」
「んぁ?」





「冴木が好きだ。」





「ホント?」
私は口をふさぐ巣山の手を剥がし言った。
「オレ、そうゆう冗談言えないから。」
巣山の顔が薄闇の中でも真っ赤なのが分かる。
きっと私の顔も同じように真っ赤だ。
「私も巣山のこと好き!!」
「おぅ。」
あぁ、向こうにいなくてよかったかも。
まさかこんないいことが起こるなんて!!
巣山が不意に私の手を握った。
「踊るか?」
なんて言う巣山の顔は完璧に私と反対の方を向いている。
「ううん。このままでいる。」
そう言って私は巣山に寄り添う。
ラムネのビンが火に照らされキラキラと光る中、炭酸がシュワシュワとはじける。











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私の学校では後夜祭をやらないので羨ましいです(^^)


回遊魚


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