早朝、野球部のマネジをやってる私はドリンクを準備したり、洗濯物をすべくグラウンドに足を向ける。
その瞬間。
ざぁぁぁぁぁああああああ!!
「うゎぁぁぁぁああああああ!!ぎゃぁぁあああ!!」
いきなり雨が降ってきた!!
何もかまえてなかったなかった私は当然びちゃびちゃなわけで、
「サイアク……。」
走って屋根のあるベンチに向かうが、まぁ、走ろうが、歩こうがって感じで。
私の制服は雑巾状態。
「今日一日これで過ごせってか?ジャージもびちゃびちゃだし。チクショー。」
こんな時に限って部室に替えのジャージがない。
「昨日、持って帰んなきゃよかったなぁ。」
「何を?」
「ジャージ。」
…………。
あれ?
現在、早朝4時。
いつもなら私一人の時間になぜ私は会話をしている?
「おーい、壱どうした?アホ面がさらにアホ面になってんぞ。」
声がする方を見れば、
「慎吾。いつの間にいたの?」
ベンチに寝っころがってる島崎慎吾がいた。
「壱が来る1時間くらい前から。」
ということは、3時からここにいたのこいつ!?
よくセ●ムに捕まらなかったな!!
長嶋さんもビックリだよ!!
「そんなに早く来て何してたの?」
「お前を待ち伏せてたの。」
「なんで?」
なんて聞いたらいかにもバカにしたような顔でため息つかれた。
素直に疑問に思ったから聞いただけなのに!!
「お前いつもドリンクとか一人で準備してんだろ。」
「うん。」
「他のマネジの子がさぁ、いくら早起きしても冴木先輩、先にいるんです!!っていうからさぁ。気になったわけよ。」
「で?」
「今日はオレがやるからお前そこで寝てたら?」
「はぁ?」
意味が分からないぞ慎吾!!
それじゃあマネジの意味がないじゃないか!!!
「いいよ、慎吾こそ寝てなよ!!3時ごろに来たってことはあんまり寝てないんじゃないの!?ダメじゃないのさ、選手がそんなことしてちゃ。」
「いいんだよ、たまにはやらせろ。」
そう言って慎吾は私の頭を小突いた。
「いった。」
「お前、最近鏡見てんのか?すっげぇクマできてんぞ。ちゃんと自分のことくらい管理しろよ。壱がいなきゃ野球部まわんねぇんだから。」
「いやいや、そんなことないだろ。」
「あるぜ?だってお前がいなきゃ他のマネジにうまく指示がまわんねぇだろ?そうなったらドリンクはできねぇわで俺ら脱水症状とかで死ぬぜ?」
「う〜ん?」
言われてもなぁ。
3年でマネージャーは私一人ってのもあって指示が出ないのはわかるけど。
みんなしっかりしてるから野球部が回らないってことはないと思うけど。
まぁ、そんなことより、
「あのさぁ、慎吾。」
「どうかしたか?」
「さっきっからさぁなんで私の胸ばかり見てんの?」
「いい具合に透けてるからさぁ。」
そう言われ、私はびちゃびちゃに濡れていたことを思い出す。
おぉ!!すごい透けてる!!
よし、とりあえずこいつを殴っておこう。
「ってぇ!!」
「天誅だい。」
「見られたくなかったらジャージでも着ろよ!!」
「持ってきたジャージも濡れてんのよ!!」
「あ〜、じゃああれだ。オレのジャージとTシャツ、カバンに入ってるからそれ出して着替えろ。タイルも入ってるから使っていいぜ。」
「タオルはいいよ、慎吾が使う分減っちゃうから。ジャージだけ貸して。」
「バカ拭かねぇと風邪ひくだろ。」
「う〜。」
「お、雨あがってきたな。じゃあオレはドリンク準備しに行ってくるから着替えてろよ。」
そう言って慎吾は出て行ってしまった。
う〜ん。
なんとも申し訳ない。
ジャージ借りてそのうえ仕事もやらせてしまうなんて。
………。
ワイシャツが張り付いて気持ち悪い。
着替えよう。
「カバン、カバンっと……あった。」
それはベンチの隅に置いてあった。
開けてみると、それはまぁきちっと整頓されていて驚いた。
なんか、男の子のカバンの中ってカオスってイメージあったからちょっと複雑。
そん中からTシャツとジャージを取り出して着替えに取り掛かる。
わ、ワイシャツが肌に張り付いてうまく脱げない!!
まぁ、頑張って着替えることに成功した。
私がワイシャツを絞り終え、タオルで髪を拭いていると慎吾がジャグを持って帰ってきた。
「お、着替え終わったか。」
「うん。ありがと。タオルとか洗って返すね。」
「いや、いいよ。」
「えー。」
「それ、今晩のオカズにするからさ。」
満面の笑みでしかも、ウィンクのオプション付きで言われたが、殴っといた。
「いってぇ!!」
「絶対、洗って返すわ。」
「まぁ、それでも抜けるからいいわ。」
返す言葉が見当たらないとはつまりこういうことを言うんだろう。
あまりに慎吾が変態すぎて何と言ったらいいものか。
「ねぇ、慎吾。」
「んぁ?」
「死んで?」
「ふざけんなよ!!あ、でも壱も一緒に死んでくれるならいいかも。」
「はぁ?なんでよ。」





「オレ、お前のこと好きだから。」





…………。
思考停止。
…………。
は?
「え?ご、ごめん。もう一回。」
「はぁ?」
「よく聞こえんかった。」
「お前のこと好きだから。」
………。
「え?」
「お前バカなの?」
「ば、バカじゃない!!てか、これ告白だったりする?」
「おぅ。」
「慎吾が、私のこと好きなの?」
「そうだつってんだろ。」
「なんで?」
「…………。」
素直に疑問に思ったから言っただけなのに!!
私、今、すごい可哀そうなものを見る目で見られてる!!
「お前のこと好きじゃなきゃこんな朝早くから待ち伏せたりしねぇって。」
「そ、そうゆうもん?」
「そーゆーもん。で、あわよくば壱と二人きりになれたらいいなぁーっていう下心も含まれてるけどな。」
そう言ってニッと笑う慎吾を見て私はどんどん顔が熱くなってくる。
私、慎吾に告白されたのかぁ。
うわぁ………。
「で、答えは?」
「う、あ、慎吾と付き合ったら敵が増えそう。」
「じゃあ、守ってやるよ。」
慎吾がどんどん私に近づいてくる。
「これ、拒まなかったらOKととるから。」
そう言って慎吾は私の顎に手を添えて顔を近づけてくる。
う、ウソだろ!!
やばいやばいやばい!!
あ、意外と慎吾まつ毛長い。
じゃなくって!!
私、キスとか初めてだし!!
うわぁぁああああ!!
残り5p!!
もう、どうにでもなれチックショウ!!
私はテンパる頭をフル回転させて、ぎゅっと目を閉じた。
その時。
「あれぇ?慎吾さんと壱さん何やってんすかぁ?」
空気の読めない天然パーマ登場。
慎吾は私の顎を掴んでいた手をパッと離し、声のする入口の方へ向き直った。
「り〜お〜!!!!」
「え!?なんすか!?オレなんかしましたか!?」
「てめぇ!!タイミング悪いんだよ!!」
「えぇ〜!!そんなの知らないですよ!!」
「……。」
あ、慎吾の無言の圧力。
「ひぃ〜すいません!」
そう言って利央は逃げて行った。
慎吾はそれを追っていこうとしたが私がそれを引き留めた。
「し、慎吾。」
「ったく。あいつのせいで台無し。」
頭をかきながら言う慎吾の顔はほんのりと赤かった。
「なぁ、」
「ん?」
「壱はオレのこと好きか?」
「う〜ん。好きかな。」
「なんだそれ。」
「ウソ。大好き。」
私がそう言うと慎吾は見たこともない笑顔で笑った。
そして互いの唇が触れあう。
それはまるでキャンディーのように甘かった。
「おーい、そんなとこでイチャつくなぁー。」
「………和己………。」











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無駄に長い^^;
そしてほとんど会話文ってゆう………。


回遊魚


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