「冴木−!!」
バタバタバタと背後から迫りくる足音。
避けなきゃ抱きつかれる!!
そう思っても今は昼休みの廊下人がたくさんいるわけで、おろおろしてると
「ひでぶっ!!」
後ろから飛びつかれて前にいた人にひどい声を出しながら顔面からぶつかってしまった。
あー恥ずかしい。
「冴木、大丈夫か?」
ぶつかってしまったのは巣山だったらしい。
「うん。巣山は大丈夫?」
「俺は平気だけどお前、おでこ真っ赤だぞ。」
「んー大丈夫。てか、田島重いんだけど。」
私は後ろから抱きついている田島の腹に一発肘鉄をくらわせてやった。
「いってぇ〜!!」
「早くどかないともう一発やるよ。」
「え〜やだよ。どっちも。」
「なんでよ。」
「だって冴木抱き心地いいんだもん。」
ニカッなんていい笑顔で言うもんだからこっちはやる気をそがれた。
はぁ、なんてため息をついたら
「ほら、田島、冴木困ってんだろぉ〜。」
ってどこにいたのかわからない栄口が田島をはがしてくれた。
「あ、ありがと。栄口。」
「いーえー。どういたしまして。」
てか私、なんで廊下に来たんだっけ?
あぁ、購買に行こうと思ったんだ!!
「あ、じゃぁ私、購買に行くから。巣山、ぶつかっちゃってごめんね。」
「おぉ。」
私が小走りでその場を去ろうとしたら後ろの方で、
「あ!!俺も行く!!」
田島の声が聞こえた。
私は小走りから全力疾走にかえた。
(田島のことは嫌いじゃないんだけどさぁ、巣山の前でに抱きつかれるのはちょっとねぇー)
(巣山に勘違いされたらどうしてくれんのよ。)





冴木達が走り去ったあと残された俺は、自分の胸に手を当てた。
なんかモヤモヤする。
「どうしたの?巣山。」
「んー、なんかもやもやすんだよ。」
「何に?」
「わかんね。」
「もしかしたらさぁー」
そこで栄口は区切ってニヤッと笑う。
「田島が冴木に抱きついてるの見てモヤモヤしたんじゃない?」
あぁ、そうかもしれない。
冴木が田島に抱きつかれてるの見てなんかイラっとしたし。
「そうかも。」
「巣山ってさぁー、冴木のこと好きなの?」
「はぁっ!?」
「だってさぁー、冴木が来ると冴木ばっか見てない?」
言われてみるとそうかもしれない。
あぁー。
気付いた途端、顔に熱が集中していき、自分でも赤くなるのが分かった。
「俺、冴木のこと好きなのか。」
「え?自覚なし?」
「今、気づいた。」
「うっそ〜!!野球部のみんなでそうなんじゃないかってずっと話してたんだけど。」
「まじ?」
「まじ。」
俺って鈍感なのか?
自分のこと知らなすぎ? 
「なんだよこれ。」
俺がボソッとつぶやいたら栄口が笑って楽しそうに言った。





それは、恋だよ





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なんだこれ……
ヒロインと巣山まったく話してない^^;


回遊魚


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