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「なまえなまえ〜。一緒に帰ろうよ〜。」

今日のプロデュースはKnightsだった。個性的な人が多いからか、毎回疲労感が他のグループより大きい。途中で月永先輩が居なくなってしまったから余計に大変だった。怒る司くんを宥めるのも大変だった。早く家に帰ってお風呂に浸かりたい。そう思っていた時に凛月くんが私の背中にくっついてきた。

「凛月くん、お疲れ。うん、一緒に帰ろう。」

こうやって凛月くんと一緒に帰ることはよくあった。Knightsのプロデュースがある日はだいたいだし、何もない日も凛月くんが声を掛けてくれ、二人で一緒に帰るのがほとんどだった。家に入ってご飯を食べて帰ることもしばしばあった。最初に来た時は、お母さんが喜んで大変だった。年頃の娘が綺麗な顔立ちをした男の子を連れてきた、ということで何を勘違いしたのか非常に浮き足立っていた。今では凛月くんはお母さんの大のお気に入りである。
プロデュースが終わる頃というのは道が暗く、人気が少ない。だから凛月くんが一緒に帰ってくれるのは非常にありがたい。たぶん凛月くんは私のことを多少は心配して送ってくれているのだろう。あまり知らないが、私の家とは確か逆方向だったはずだ。凛月くんにそれを言うと嫌がりそうだから言わないけど。

「そういえば、この前ま〜くんがさ……。」

横で穏やかな顔をしながら話をする凛月くんの顔をチラリと見る。以前はしかめっ面でツンツンとした態度しか取られなかったのが、今では柔らかい表情を見せてくれるようになった。何だか感慨深いなぁ。とぼんやりと思っていると、凛月くんと目があった。

「……何? 」

怪訝な顔に戻ってしまった。凛月くんも穏やかな顔するようになったんだね、という訳にもいかないので、必死で誤魔化す。変なの、と笑う凛月くんの顔はとても綺麗だった。

「あ、着いたね。」
「あ〜本当だ……。」

凛月くんと話しているといつも時間が早く過ぎる。気がつけばもう私の家の前だった。私がじゃあね、と入ろうとすると凛月くんが私の腕を取る。じっと私の目を見てきた凛月くんは、何か言いたげだった。

「……なまえ、あのさ」
「何? 家でご飯食べたいの? 」
「よく分かったね。」
「凛月くんのことだったら何でもわかるんだよ。」

なーんちゃってと冗談交じりに笑う私に、凛月くんは驚いたような顔をした後ふんわりと笑った。

「もうちょっとなまえと一緒にいたいの。だからお邪魔するね? 」

そんなこと言ってくれるなんて、友達ってやっぱ良いものだなぁ。