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伊達政宗side
「押し通る」
抜刀し薄く笑う香耶は、まるで戦神だ。
瞬きの間に香耶の忍の姿が掻き消え、強い風が砂を巻き上げた。
同時に馬が次々と血しぶきを上げて斃れていく。
「Shit! やってくれるじゃねえか」
油断できる相手じゃねえ。俺は六爪を抜いて馬を駆った。
香耶の前には赤具足の男が立ちはだかる。見たとこ家紋はねえが、赤揃えといえば武田軍を彷彿とさせるな。
その男とすれ違いざまに刃を交えた。
よく鍛えられた鋼が火花を散らし、手に重く衝撃を伝えてくる。
「Aha, いい使い手だ」
「この月神信繁、香耶殿には指一本触れさせはせぬ!」
「奥州筆頭、伊達政宗。推して参る」
こりゃあ楽しいpartyになりそうだぜ。
信繁と名乗った男が十文字槍を構え吠えるのを見て、俺も馬から飛び降り、互いに間合いを詰めて得物を打ち合わせた。
先手必勝。ぶちかますぜ。
「DEATH FANG!!」
「! っぐ」
竜の爪を振り下ろせば剣圧で信繁の身体が押し返される。
六爪に雷の婆娑羅を纏わせ猛然と追い討ちをかけると、信繁は防戦一方となり表情を歪めた。
しかしこの男、俺の六刀流を一本槍で防ぎきるとは出来る。
埒が明かなくて少し間合いを取ると、今度は信繁が追撃へと転じ、槍の太刀打ちで俺の右刀を大きく跳ね上げた。
「チィッ!」
しかも槍柄を返し俺の左を封じた隙に、奴の強烈な蹴りが胴に入った。
大きく体勢を崩した俺に待っていたのは、信繁のアツすぎるくらいに闘志に燃える表情と、火花を散らせる切っ先だ。
「この一撃!」
そう声を張り上げると同時に、信繁からenergyが爆発した。
信繁のBASARA技にも似た奥義技を、俺は防ぐことも出来ずまともに食らい吹っ飛んだのだ。
「ぐはぁ!」
「魂に刻め!!」
「政宗様っ!」
耳慣れた小十郎の声が聞こえた気がするが……coolにいこうぜ。
俺はこの戦い、心底楽しかった。
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