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*は注意


「……誕生日?今日が?」
「そーよ。あんた知らなかったの?」
「マッタク。」

私は少し前からとある人物に何気にさりげなく静かに片思いしていたはずなのだが、何故か部員の皆(神峰君は除く)にはバレていた。邑楽先輩には本気かと散々聞かれた後イトコとして嬉しいと涙まで流された。
そんな私の片思いの相手は同じパートのリーダーである御器谷先輩であるのだが、今日が誕生日らしい。全く知らなかった。というより、邑楽先輩が教えてくれなければ間違いなく知らないままだった。

「どうしよう……。」
「私としては知らなかったってのが驚きだわ。」
「だっ、だって……。」

見てるだけで十分なのだ。
そう伝えたら、ため息をつかれた。

「そんなんじゃ叶うもんも叶わないわよ?」
「……。」

ぐうの音もでなかった。



*



「……。」
「……。」
「……。」
「……御器谷先輩、どうかしたんすか?ソワソワとして。」
「えっ!?そ、そうかな!?」

今日御器谷先輩は部活が始まってからずっと様子がおかしい。誰かを気にしているような感じだ。それは部活が終わっても同じで。

「なんかあったんすか?」
「……実は今日、パートの後輩が少し調子悪そうで。」
「へー、大丈夫っすかね?」
「やっぱり僕が頼りないから、一人で隠れて練習とかして無理して……。」
「先輩!」
「名字さん!?」
「!?」

相変わらずに機雷が爆発してるところに、一人の女子が来た。先輩って言ってたから多分俺と同じ学年だ。
その途端に御器谷先輩の周りの機雷が大幅に増えた。

「あの、コレ、今日誕生日って聞いて……。」
「え……僕に……?」

コクコクと首を縦に振る名字さんはすっげー赤面してて、やっぱり熱とかあるんじゃないかと思った。

「ごめんなさい!今日誕生日って知ってこんな急拵えのしかプレゼント出来なくて、」
「ぼっ僕こそゴメンね、祝って貰えるだけ幸せなのにそんな、プレゼントなんて」
「そんなことないです!先輩より私の方がよっぽど失敗したりしてます!」
「名字さんは後輩だし、むしろ駄目なのは先輩の僕の方……。」

(……この人達、すげえ。)

爆発を、爆発で相殺してやがる!

「神峰、ちょっと来なさい。」
「邑楽先輩?」
「後は本人達に任せるぞ。」
「音羽先輩!?」

そして俺は二人に連れられて部室を出た。俺を連れ出す時に見た二人は、本当に楽しそうだった。


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