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お前ら少しは遠慮しろ [ 5/12 ]



「中宮、今日大丈夫か?」
「はい?」
「あーいや、また、あの人が、な……?」
「あー……、はい。わかりました。」
「……スマン。」
「いえ、暇ですから。車使わせてもらいますね。」



*



「恒道館道場」と書かれた門前。既に中は騒がしく、遅かったか?とも思ったが、此処で突っ立っていても埒が明かないと、とりあえず声をかけてみた。

「すみま「死にさらせこのクソゴリラァァァ!!!」……。」

ドカンと轟音をあげて中から人が門ごと吹っ飛んで来た。認めたくないが、我等が局長、近藤勲もといただのゴリラの死体だ。頭が痛くなってきた。

「いつもいつも、本っっっ当に申し訳ありません。お妙さん。」
「そう思うならなんとかしてくれません?」
「……おっしゃる通りです。」

怖い。敬語が怖い。
私は即座に近藤さんをパトカーから持って来ていた捕獲用ロープを出してグルグル巻きにして車の中に無理矢理蹴り入れた。乱暴だがこんな大の男一人を引きずる力は今の私には無い。

「梓!?」
「神楽ちゃん?」

後ろに振り向けると、お妙さんの横に神楽ちゃん達万事屋が立っていた。

「梓ー!!久しぶりアルなー!!」
「ぐえっ。」
「ちょっと神楽ちゃんんんん!?中宮さんから変な音聞こえてるからぁぁ!!」
「助、け……。」
「中宮さぁぁぁん!!!?」

神楽ちゃんに飛びつかれた私の体からバキバキと不吉な音がする。

(まずい、意識が……。)

「はい神楽ストーップ。梓魂ゲロっちゃってるから。このままだと今まで集めた魂無駄になっちゃうよ?デ●サイズへの道がまた遠退いちゃうから。」

「突然止めてください銀さん。それとそのネタこれ読んでる人の何人がわかるんですか。」

銀さんがべしんと神楽ちゃんの頭をはたいた。その拍子に力が緩んで私は何とか命の危機を脱した。危なかった。真面目にお花畑が見えた。

「あー?知るかよ。随分前にアニメ化したしそれなりの知名度はあんだろ。」
「終わったのも随分前だけどな!!」
「それに私魂なんて集めてません。」
「いや中宮さんツッコむとこそこぉ!?つか復活早!!」

新八君は今日も元気だ。

「そういえば梓ちゃんが一人で来るのは珍しいわね。いつもは土方さんと一緒なのに。」

お妙さんが思い出した様にそう言った。

「あ、私昨日から一ヶ月の有休取っているんです。だから今日副長は忙しくて、私一人で来たんです。」
「あら、そうなの。」
「マジでか梓!!なら今から銀ちゃんで一緒に遊ぶネ!」
「神楽ちゃーん?なんか今変な単語聞こえたんだけど。銀さんと、じゃないの?銀さんで、遊んじゃうの?」
「ごめんなさい神楽ちゃん。私このゴリラ屯所に移送しないといけないから……。」
「中宮さんもう完全に動物扱いですね。」
「そんなんジミーにでもやらせとくアルヨ。」
「相っ変わらず真面目だねぇ梓は。」

二人の反応には苦笑するしかなかった。実際私は今休暇中であって、別に神楽ちゃん達と遊んでも何ら問題は無いはずだ。局長はまあ……何とかなるだろう。

「屯所に一回帰ったらまた来ますよ。色々うちの馬鹿局長が迷惑おかけしてますし。何か奢りますよ。」
「よし約束アルヨ!酢昆布100個買って来るネ!」
「パフェ頼む。駅前のでっけー店のでっけーヤツ。」
「ハーゲンダッツお願いします。」
「お前らは少しは遠慮しろぉぉぉぉ!!!」






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