お前ら少しは遠慮しろ [ 5/12 ]
「中宮、今日大丈夫か?」 「はい?」 「あーいや、また、あの人が、な……?」 「あー……、はい。わかりました。」 「……スマン。」 「いえ、暇ですから。車使わせてもらいますね。」
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「恒道館道場」と書かれた門前。既に中は騒がしく、遅かったか?とも思ったが、此処で突っ立っていても埒が明かないと、とりあえず声をかけてみた。
「すみま「死にさらせこのクソゴリラァァァ!!!」……。」
ドカンと轟音をあげて中から人が門ごと吹っ飛んで来た。認めたくないが、我等が局長、近藤勲もといただのゴリラの死体だ。頭が痛くなってきた。
「いつもいつも、本っっっ当に申し訳ありません。お妙さん。」 「そう思うならなんとかしてくれません?」 「……おっしゃる通りです。」
怖い。敬語が怖い。 私は即座に近藤さんをパトカーから持って来ていた捕獲用ロープを出してグルグル巻きにして車の中に無理矢理蹴り入れた。乱暴だがこんな大の男一人を引きずる力は今の私には無い。
「梓!?」 「神楽ちゃん?」
後ろに振り向けると、お妙さんの横に神楽ちゃん達万事屋が立っていた。
「梓ー!!久しぶりアルなー!!」 「ぐえっ。」 「ちょっと神楽ちゃんんんん!?中宮さんから変な音聞こえてるからぁぁ!!」 「助、け……。」 「中宮さぁぁぁん!!!?」
神楽ちゃんに飛びつかれた私の体からバキバキと不吉な音がする。
(まずい、意識が……。)
「はい神楽ストーップ。梓魂ゲロっちゃってるから。このままだと今まで集めた魂無駄になっちゃうよ?デ●サイズへの道がまた遠退いちゃうから。」
「突然止めてください銀さん。それとそのネタこれ読んでる人の何人がわかるんですか。」
銀さんがべしんと神楽ちゃんの頭をはたいた。その拍子に力が緩んで私は何とか命の危機を脱した。危なかった。真面目にお花畑が見えた。
「あー?知るかよ。随分前にアニメ化したしそれなりの知名度はあんだろ。」 「終わったのも随分前だけどな!!」 「それに私魂なんて集めてません。」 「いや中宮さんツッコむとこそこぉ!?つか復活早!!」
新八君は今日も元気だ。
「そういえば梓ちゃんが一人で来るのは珍しいわね。いつもは土方さんと一緒なのに。」
お妙さんが思い出した様にそう言った。
「あ、私昨日から一ヶ月の有休取っているんです。だから今日副長は忙しくて、私一人で来たんです。」 「あら、そうなの。」 「マジでか梓!!なら今から銀ちゃんで一緒に遊ぶネ!」 「神楽ちゃーん?なんか今変な単語聞こえたんだけど。銀さんと、じゃないの?銀さんで、遊んじゃうの?」 「ごめんなさい神楽ちゃん。私このゴリラ屯所に移送しないといけないから……。」 「中宮さんもう完全に動物扱いですね。」 「そんなんジミーにでもやらせとくアルヨ。」 「相っ変わらず真面目だねぇ梓は。」
二人の反応には苦笑するしかなかった。実際私は今休暇中であって、別に神楽ちゃん達と遊んでも何ら問題は無いはずだ。局長はまあ……何とかなるだろう。
「屯所に一回帰ったらまた来ますよ。色々うちの馬鹿局長が迷惑おかけしてますし。何か奢りますよ。」 「よし約束アルヨ!酢昆布100個買って来るネ!」 「パフェ頼む。駅前のでっけー店のでっけーヤツ。」 「ハーゲンダッツお願いします。」 「お前らは少しは遠慮しろぉぉぉぉ!!!」
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