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- ナノ -
私が席に着いた時、その男はまだ意識があった。
マスターにいつもの、と注文をして、それを待つ。
退屈凌ぎに顔を横に向けてみる。さっきからぐすぐすぶつぶつうるさかったのだ。
男のくせになんて情けない声を出しているのだ。私の方がよっぽど泣きたい気分だと言うのに。
金髪をカウンターに突っ伏してぐちぐち言っていたと思ったらマスターもう一杯!と勢いよく顔を上げた。
驚いた。
涙と鼻水で酷く醜くなってはいるけれど、造形そのものは悪くない。むしろ整っている。
しかし一番私を驚かせたのは、彼のことを画面越しに見たことがあったからだ。

「……宮侑?」
「んあ?」

これが私たち、失恋したもの同士の出会いだった。