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宗像(伏見)




言ってはいけない発言だった。
それは理解している。しかし私は宗像礼司を理解することはできなかった。
犠牲を必要だったと言って納得することはできなかった。
犠牲を間違いだと認め、出さぬように努めることが正しい在り方ではないのか。

「綺麗事にも程があんだろ。」
「煩いですね。わかってますよそんなこと。兎に角、私絶対セプター4辞めますから!もうあの人には付いていけません」
「これで何回目だよ」

夜遅くまで連日残業残業残業。労働基準法はどこに行ったと言いたくなるようなオーバーワーク。
それでも今日はまだマシな方で、夜の特務隊の執務室に人は私と伏見さんだけだった。他の皆は私を置いて寮に戻って行ったが、皆目の下のクマが大変なことになっていて、引き止めはしなかった。
平隊員の倍以上の書類をこなす伏見さんへ兎も角、私は単純に書類にミスが発覚したからのサービス残業だ。これも辞めたら訴えてやる。

「伏見さんも終わったら休憩した方がいいですよ。今日もずっと現場で働きっぱなしじゃないですか」
「道明寺の書類がまた小学生の落書きレベルなんだよ……!!あいつ連絡繋がらねーし!」
「お、お疲れ様でーす……」

しまった。思わぬ地雷に触れてしまった。皆休めるなら休みたいよね。休めないから働いてるんだよね。
私もなんとか道明寺隊長の報告書解読を手伝いたいところだが生憎私は秋山さんのところにいた為無理だ。明日道明寺隊長は寮に帰れるのだろうか。

「つーかあんたここ辞めてどこ行く気だよ。剣の腕しかないのに」
「デスクワークもできますー!事務ならどっかしら再就職とかありますー!」
「今ここにいる理由考えろよ……。つーか今のセプター4があんたを手放すわけねーだろ」
「なんで?」

2人ともキーボードを打つ手は止めずに会話をする。最近は誤字も少なくなってきた。マジでわかってねーのか。そんな失礼な呟きが聞こえた。

「……あんたは頭はアレだけど剣の腕はあるでしょうが。そんかあんたを人材不足の今手放すわけねーだろ」
「伏見君、君そんなに私のこと評価してたの?」
「俺じゃねーよ……」

思わぬ評価を受けて顔がにやける。
セプター4において私は剣も書類も中途半端でいてもいなくても構わない存在だと思っていた。
だからナンバー3にこう言われたら嬉しくないわけがない。

「気色悪い。いいから手動かせ」
「はっ、ハイ!伏見さん!書類、完成しました!」
「だったらさっさとコピーして持ってこい!綴じる時はもう順番と向き間違えんな!」
「ハイ!!」

そんな感じでデータをコピー機に送り私は隣のコピー室に行く。
この時にはもうセプター4を辞めるなんてことは頭からすっぽ抜けていた。こういうところが伏見さんに頭が弱いと言われる所以なのだろう。
誰もいなくなった部屋で「これでいいんですか?」と呟いていた事を私は知らない。
即興二次小説(http://sokkyo-niji.com)より
お題「暗黒の発言」30分

本当に30分で書けました。お題がよかったんだと思います。
楽しかったです。ありがとうございました。
多分室長オチだと思ってますがどちらに解釈しても大丈夫だと思います。
道明寺は誕生日記念に出演させました。
2016/06/05 13:51