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草薙


シトシトと雨が降る。春雨だ。「桜、散っちゃうかな……」バーのソファから窓を覗くと、灰色の空から止む気配の無い雨の雫が見えた。「桜は咲きはじめは萼がしっかりしとるからまだ大丈夫やろ」カウンターでグラスを磨いていた草薙がさんが近くまできて言った。「本当?来週の桜祭までもつ?」「多分大丈夫やないか」「適当」草薙のさん口ぶりに私は唇を尖らしたけど、彼は何のその。「尊さんなら雨雲も吹き飛ばせるかな?」「あーそれ、ええかもなあ。空なら誰にも迷惑かけんしな」「確かに」何の気も無しに言った提案だったけど意外と良い案な気がしてきた。「でも、もう雨止んだっぽいで」「え?」再び窓を覗くと確かに雨は止んでいた。「ホントだ。虹は……見えないね」「そんなしょっちゅう見れる物やないやろ」草薙さんの言葉にしょぼんとなる。「祭開催する確率上がった思うて喜びや」バッと見上げたら草薙さんはいつものような飄々とした笑顔で。「一緒に行ってくれますか!?」「おう、ええで」私の心も晴れた気がした。

2014/04/03 01:41