下にいくほど新しい
一緒に行ってあげてもいいよ(幸村)
「だから、絶対つまんないと思うよ」
「別にいいよ」
「いや、私が嫌なんだよふざけんな」
部活からの帰り道、そろそろ春だし春服欲しいなぁ、と呟けば不意に幸村が「俺も行く」とか意味の分からない事を言い出した。私は服は一人で見て回りたいタイプだし、しかもどうして幸村なんかと一緒にショッピングしないと駄目なんだ。助けてよ、という意味合いを込めて真田に目線を向けたけど、真田が空気を読めるはずもなく「あまり無駄遣いしないようにな」とか父親みたいな事を言う。頼る相手間違えた。
「ええーいいよ。だって幸村、折角の休みじゃん」
「だからなに?」
「ゆっくりしたら?」
「俺が行きたいって言ってんの」
なにこのワガママな子。ホント誰か止めてよこいつ、と辺りを見回すも、皆はゲーセン寄るとかマック寄るとか、そういう話に夢中だった。同じ空間にいながら、何故か幸村と二人っきりみたいな状況に陥っている。
「……いや、あの、そうだ私、下着とかも見たいし」
「別に気にしないけど」
「いや私が気にする……いやなんでもないです。えっと、あと私、あの、買い物する時間すっごく長いよ。同じ店にずっといたりとか、戻ってきたりとかするよ?」
「なに、さっきから聞いてれば。俺と一緒に行きたくないみたいだけど」
幸村はかなり不機嫌だった。なんなのはこっちの台詞だし、実際誰が幸村とお買い物行きたいとか言ったんだよ。幸村の態度にカチンときたので、私も強気に出てみることにした。
「なに、幸村はどうしてそんなに私とショッピングに行きたいの?デートしたいの?」
「……は?」
「ごめんなさい」
幸村の顔を見る事なく、即座に頭を下げる。ごめんなさいまじ調子のりました。しかし何も言い返してこない幸村を不思議に思って、顔をゆっくりと上げてみると、なんか知らないけど幸村の顔が真っ赤だった。えっ、と思わず口に出せば幸村はあっちを向いてしまう。
「別に、お前がデートしたいなら、してあげてもいいけど」
「幸村、なんで顔赤いの」
「うるさい」
「……」
幸村の顔が赤くなる所なんて、初めてみた。ああ、からかってやりたいのになんで私の顔まで真っ赤になるわけ。心臓とか、ばくばくいうわけ。もう!