マーガレット
  




百合か友情か微妙なラインだけど一応友情のつもり。牧場物語のユーリとミシェル。



あの子を驚かすのは本当に骨が折れることだと思う。他の人が驚いてくれる単純なマジックにあの子は目を輝かせてはくれない、まして驚いてくれることはない。クルリ、ステッキで円を描けば蝶が乱舞し、花びらが舞い上がった。ユーリに目配りをしてみる、やっぱりあまり驚いていなくてがっかりした。これでも、習得には長い歳月を要したというのに。パチパチパチ。一人だけの観客であるユーリが手を叩いた。私も形式上軽く、お辞儀をして見せる。「凄いね……ミシェル」「有難う、でもあまり驚いていないのね。残念だわ」これでも、ユーリを驚かせたい一心で、頑張ったのに。恨みがましいような言葉は喉の奥でつっかえたまま出てくることはなかった。



「ごめん……驚いてはいるんだけど、あまり……表情には出ないみたいで。凄いとは、思っている」お母さんも、言っていた。と付け足した。「ふぅん、そうらしいわね」ユーリは私と違って嘘は言わない、素直で純然で何処までも。「でも、いいの。そのほうが上達に繋がるし……何より、楽しみが増えるわ。ユーリの驚いた顔ってとっても貴重だし」「そんなことは……ない。ミシェルの頑張っている所、見ていたい。……でも、近々町を出るって聞いた」ユーリが早くも、経験を積むために町を出てマジックショーで各地を転々とするという話を掴んでいることに私の方が驚いた。「やだ、もう知っていたのね」「……うん。寂しく、なる」顔が曇った。純粋に私との別れを惜しんでくれているようだった。「ユーリも勉強の為に町を出るのでしょう?」「……そう。服……好きだから」「いいわね、応援している」猫をかぶらなくてもいい相手、そんなユーリに対して微笑みかけた。



もう一度ステッキを横に振って見せた。パァとまばゆい閃々とした光が包み込み、私の右手にはマーガレットの花が一本握られていた。マジックの成功を確認した後にユーリにもう一度視線を戻すと珍しく、驚いたように数度瞳を瞬かせてマーガレットの花に釘付けになっていた。私はユーリの手にマーガレットの花を握らせる。「……これ、貴女にあげるわ。ふふ、珍しく驚いてくれたわね」「ありがとう」「またね。今度はもっと、驚かせるマジック……習得しておくわ。期待しておいて」「うん」マーガレットの仄かな香りを運んで、風が歌う。



後書き?
………
ミシェルも好きなんだけどさ…他の嫁候補の好物と違って、未だにレシピをゲットできていない…。誕生日には、宝石を貢いでいます…。


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