負けたあとのお話
  




雷門に負けた。俺は決して手なんか抜いていなかった。それでも、負けた。目の前の事実に俺の力が抜けるのがわかった。今のサッカーは、管理されている。これは、勝たねばならない試合だった。それなのに、それなのにもかかわらず俺は負けてしまったのだ。俺は天河原が好きだ。シードとか、そういう物関係なしに此処に居たいと思っている。だけど、もうそれは許されないかもしれない。恐らく俺は何らかの処罰を受けるだろう。若しかしたら、俺だけでは済まないかもしれない。「……どうしたら、いいんだ」俺だけですまなかったら。仲間も、監督も。俺のせいで。



「隼総、お前のせいじゃない」キャプテンが力なく笑った。同情とかそういうのは一切感じられない。「お前は全力を尽くしてくれた、俺たちもそうだ」試合の時、一度肩を叩いてくれたようにキャプテンは色々考えて俺たちに最善の道を示してくれる。最近は何かを考えているようだが。「……有難う」キャプテンに向けて一度、俺の心からの感謝を述べるとキャプテンは照れくさそうにはにかんだ。監督に言いに行こう、負けたけど俺は此処に居たいって。聖帝に報告しよう。



「だからぁ!監督ぅ、隼総がここから出ていくとか絶対嫌だからぁ!あいつが居なかったら焼き鳥食べても美味しくないじゃん!なんとかしてよぉ!」「……うーん、」「……焼き鳥はわからないけど、隼総は仲間だから。いなくなられたら西野空の突っかかる相手も減って俺が困る」監督の困っている声と、西野空のあの気だるさがない荒げた声。星降の抗議する声。どちらも馬鹿にしたような感じはなくて、ただ仲間という声が暖かく感じて目頭が熱くなった。「そうね。そうよね」監督の柔らかな声が先ほどの迷いが消えて、強い意志を帯びた。それから、西野空たちのほっとした様な、間抜けな声。今、泣きそうじゃなかったらあいつらからかいに行くのにな。いいや、このこと聞かなかったことにしておいてやるよ。




・・・・
天河原はこんな感じで、なんだかんだで隼総は仲間だと思われる。因みに隼総の前で焼き鳥食べるとファルコ・ウィングが炸裂する。真面目な友情が書きたくなった。


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