漫画




ハロウィン、それはお菓子を巻き上げられるイベントですよね。これ、最初に考えた人を神とあがめてもいいよ。素敵じゃないか。まぁ、仮装……?は流石にちょっと、どうかなー、とは思うんだけどね。この年で仮装とは中々痛々しいではないか。
「漫画君〜、トリックオアトリート!あと、原稿の進み具合はどうかな?」
漫画君に両手を突き出して、頂戴と言う。
「や、やめてくれ……原稿という単語だけで頭痛がしてきた……」
目の下のくまは相変わらずだ。最近深夜まで頑張っているのかな?少し気の毒になってきた。原稿と、締め切りは禁句だね。


「で……?お菓子?んー、ガムでよければあるけれどね。僕の眠気覚ましにぴったりで気に入っているんだ」
でも、ミントだよ?眠気覚ましに買ったものだから、と表情を曇らせた。
「ばっちりですぜ!食べられればね!ガムといえばお菓子だし!有難う!」
ガムを受け取ろうとしたら、漫画君は取られる前に素早く後ろへ隠した。てっきりくれるものだと思っていたから驚いてしまった。
「あれ?くれるんじゃなかったの?」
「うん?あげてもいいけど、仮装しなきゃ駄目じゃないか。ほら、此処に丁度いいことに魔法少女の服があるよ!」
漫画君のテンションが先ほどと違う。というか、その衣装……どうしてあるんだ。いや……マネージャーさんは皆、メイド服を着ているしあること自体には然程驚きはしないのだが偶然にしては出来すぎている気がしてならない。多分、というか絶対、あらかじめ用意していたに違いない。


漫画君が笑みを深めて、そのフリフリとか沢山ついた恐ろしい服を突きつけてくる。
「ほら、これ着てくれたらガムもあげるし、パフェも食べさせてあげるけど、どうするんだい?」
私はその言葉を聞いて更に後ずさりをする。い、嫌だ。嫌過ぎる。ていうか、漫画君は二次元にしか興味がなかったのではないのか?嫌な汗をかきながら、私はこの究極の選択に苦しむことになる。



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