光良




事の発端は光良だった。「サンタさんっていつくるんだろうね?」って純粋な瞳を興味で輝かせていたのだ。まさか、寝ているときに私が置いていくんだよなんて夢をぶち壊すようなえげつない大人のような事はしたくなかったので、光良が寝ている間だよって言うとじゃあ、一緒に張り込んでみようよって成ったのだ。そして、今布団の中で二人微動だにせずに息を殺していた。ああ、プレゼントは私の部屋に置きっぱなしなのになぁ。と思いつつすっぽりとかぶった布団の中で、隣の熱源と瞳を合わせた。



「まだかなぁ、サンタさん。まだかなぁ……」いつもの煩い声はボリューム控えめである。私は仕方なく応答する。「寝ているふりしないと、起きているってばれているんだよ」「そうなのかなぁ」んじゃ、目くらいはつぶるかと言って目を瞑る。いつか、眠った時に隙を見計らって此処から脱出を図り、光良のベッドの机にでも置いておかないと。それにしても、光良も光良だ。なんで中学二年生にも成って未だに純粋に信じているのだろう。普通中二男子と言ったら汚れに汚れて「サンタなんていない」とか言うに決まっているのに。



ぎゅうと不自然なまでに目を強く瞑る光良に呆れの息を零してもっと自然にリラックスして眠っているふりをしなきゃと言ったら、肩の力を抜いてくれた。「サンタさんに逢ってどうするの?」「……うーん。写真を撮るよ、磯崎がそんなもんいねーよっていうし、じゃ写真よろしくって毒島が言うからぁ」成る程、あの二人が引き金らしい。全く巻き込まれてしまう側の身にもなってほしい物だよ。あの二人だって、私たちの関係は知っているだろうに。



いつのまにか自然に眠りについてしまった光良を尻目に私は漸く行動を開始した。もう、白々とし始めていたが、関係なかった。光良は、先ほどまで眠たげにもう来ないんじゃないのかと言っていたから、きっと喜んでくれるだろう。中身は最近、欲しい欲しいと騒いでいたゲームソフトでサンタさんに頼むんだと言っていたものだ。そっと抜け出して、私は光良の机の上に赤いリボンでラッピングされたそれを置いた。



昼間に成って漸く置きだした光良が、机のゲームを見てはしゃいだのと同時に、俺途中で寝ちゃったんだと落ち込んだ。「でも、やっぱり、サンタさんはいるんだね!磯崎たちがそれは名前だ〜って言うんだよ!」「?!」どうやら、磯崎たちにはサンタの正体がばれているらしい。全く、恋人だけが気づかないってどういう事だろうね。それも、光良のはしゃいでいる姿に段々と微笑ましくなっていって消えた。


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