アムネシアの哲学



(・佐久間と年上のお姉さんのお話、15推程度)


家に帰るなり、名前さんが不法侵入していた。名前さんとは、俺の想い人であり少しだけ年上の女性だったりする。といっても、まだ成人はしていない。……していない。なのにも関わらず、ライチ味のチューハイの缶を傾けているのは何故だ。「……名前さん、なんでお酒なんて飲んでいるんですか?」「ん〜?ああ、佐久間君じゃないか。いや、悪いことの一つや二つしてみたいと思ってしまってね、それで申し訳ないと思いながらも、一本だけ拝借させてもらったのだよ」そう言ってグイと、煽った。ゴクリゴクリ、喉を鳴らしてその液体は体内へ流れていく。暫くはそうやってソファーに凭れ掛かって飲んでいたのだが、次第に火照った痩身を晒すようになっていった。「あつーい」「暑いじゃないです。ちゃんと服をきて……」そう言って服を直そうとした瞬間に胸の谷間に顔を押し付けられた。



「むぐっ?!」「はいはいー。後でねー。えへへへへ」完全な酔っ払いだ。そして、俺の下半身!頑張ってくれ、こんな所で、挿ったりしたら笑えないぞ。俺。とはいえ、体は正直だ。半分挿ちしているのがわかる。くそ、こんなことで。「厨二の佐久間君にはお酒は上げないよ〜?」「煩いなっ、じゃなくて、この痴女!!」俺が罵るときょとんとした顔をしていて、自分のしでかしたことをあまり理解していないようだった。これだから、嫌なのだ。名前さんだって、帝国に通っているのに、何故わからないというのか。どうなっても本当知らないんだからな。「そんなに暑いなら脱がせるの手伝ってあげますよ」そういって、シャツのボタンを一つ一つ丁寧に外していくと水色の可愛らしいブラジャーにフリルをあしらったものが顔を表した。



「んっ」赤い顔のまま、それを止めるでもなく見つめていて「佐久間君の手男の子だなー、大きく成ったね」「手だけじゃないんですよ。なんなら、此処で俺がどれだけ男に成ったか教えてあげてもいいんですよ」そう言って、チュッと首筋にキスを落とした。「ひっ、あ!」艶っぽい声が漏れた。それに気をよくして、鎖骨、うなじ、にキスマークを付けていく。綺麗に真っ赤な虫刺されのような鬱血したキスマークが沢山ついて俺だけの物だという征服欲に駆られた。「あーあー、佐久間君わーるいんだ。帝国に通っているくせにこんなことして。私は、帝国だけど、もう中学生じゃないし?」「帝国学生っていうよりも先に俺は男ですからね。仕方ないんですよ」



ふぅーんと、鼻で笑って余裕そう。俺も飲みかけで置いてある、缶チューハイを口に含んだ。そして、コクリ、飲み込んだ。喉仏が一度上下した。「名前さん。俺も酔ったみたいです」そう言って、また、缶チューハイを傾けて口に含む。そして、キスをする。抵抗しろよ、抵抗しないと……本当に……俺、……名前さんへと口移しで生ぬるく成ったお酒を流し込む。名前さんは嬉しそうにそれをゴクリゴクリと飲んでいたが、飲みきれなかった分が口の端から零れ落ちていった。それから、俺は悪いことをしていると思いながらも缶チューハイを飲みながら名前さんをソファーの上に押し倒して、馬乗りに成りながら、何度も啄むようにキスを繰り返した。酒の匂いに酔わされていく。どんどん理性が無くなっていくのがわかる。



そうだ、俺は悪くない。薄着に成って俺を誘ってきた、名前さんが悪いんだから。更に水を飲むようにしゅわしゅわとした、チューハイを傾けた。どんどんと体が火照っていく。俺も上着を脱ぐ。「佐久間君、意外と逞しいんだね。髪の毛長くて女の子みたいだって思っていた時期あったんだけど」「それ、訂正してくださいね。絶対に許さないからな!」「こっちは訂正しなくていいかな?眼帯つけていて厨二病だなっていうのは」「……俺を怒らせて後悔しないでくださいね」そういって、胸を手で形を変えれば口元に手をやって、悩まし気な声をあげる。もっと聞きたくて、指先で胸の突起を摘まんで、引っ張った。「ひゃん!」「……可愛いですよ」「佐久間君……」くるくると世界が廻り始めている。ぐわんぐわんする。やばい、本番は此処からなのに、酔ってしまったらしい。



気が付いたら、俺は名前さんと添い寝をしていた。恰好はあの時のままだったけれど、薄手のタオルケットがかかっていて、名前さんが俺の部屋から持ってきたのだと悟った。「ありゃ、もうお目覚めかな?」「はい……俺、あの」「うん、知っているよ。佐久間君は私が好きなんだよね。私も好きだよ。だから、今日の続きはいつか、しよう、ね?」そう揺籃歌のように囁きかけた。俺は酷く穏当としていて、まぁ、今日出来なかったのは少し悔しいし、酒を飲みすぎたのは敗因だったな。そして、今日の出来事を思い返していた。名前さんの胸、柔らかかったなぁ。そういえば、挿っていたの、知っているんだろうか?それくらい、貴女のこと大好きなんですよ。そんな劣情。


Title すいせい

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