もしも龍崎と同じ年齢ならば




(・もしも、シード連載の夢主が同じ年齢だったら。虐待され龍崎と同棲、龍崎は溺愛していて夢主は信頼している。風丸と知り合い、フィフスセクター所属)


龍崎が珍しく名字を探していた。いつもは傍に居るのに、今日に限ってはそうではないようだった。次第に、困り果てたようにスマホを取り出して、ある人に電話をかけた。それは名字の知り合いで風丸といって、十歳年が離れた知り合いだった。何でも昔に公園で時間を潰していた所を保護したことがあって、何となく名字の事情も知っているようだった。嫌だったが手段は選んでいられなかった。『はい、風丸です』「風丸さん、名前そっち行っていませんか?」『いや、来ていないが……何かあったのか?』龍崎は居ないという事を言うべきか迷ったが迷いを断ち切った。ばれているだろうが関係ない。「いえ、何でもないです。失礼します」ぶつん。



次に聖帝にもかけてみたが、同じ結果だった。嫌な予感がする、龍崎はいつのまにか、走りだしていた。名字の家の方面だった。「いやあああああっ!!」「煩い!近所に聞こえるでしょう!」「痛い!痛いよぉお」悲鳴が聞こえた。それは紛れも無く名字の声だった。助けを求められていると確信した、龍崎がチャイムを連続で鳴らした。「龍崎です。こちらに名字が来ているんではないですか?」チェーン越しに母親と目が合った。「いいえ」「嘘を吐かないでください。泣き声が聞こえました」チッと舌打ちして龍崎を睨みつけたが龍崎は一切感情を表に出さず「名前を連れて帰りますので」そういうとチェーンを母親が外して名前を外に突き飛ばした。そのまま倒れ込む所を龍崎が抱き留めた。



ガチャン、重たい音がしてドアが閉まった。冷たい音だった。名前が「龍崎っ、うぅ、っ、お母さんがね、来てほしいって、手伝ってほしい事があるっていうから……、」そしたら、行き成り蹴られてね、殴られてね、って頬を真っ赤にし、足や手があざだらけに成っているのに気が付いた。「何を言われても行くな。わかったな?」「うぅ、うん……もう行かない。お母さん……、どうして、私……」龍崎に抱き留められたまま、ぽろぽろ涙を零した。心配していた聖帝と風丸に連絡だけ入れて家路を歩いた。途中コンビニによる。「好きなアイスでも買えよ。お菓子でもいいけどさ」「龍崎も買おうよ」「……ああ」そう言ってアイス売り場でアイスを二本購入して外へ出た。



家に付く。此処は二人だけの楽園だった。フィフスセクターに龍崎が頼み込んで、名字と暮らせる家を用意させたのだった。フィフスセクターの一員であれば、願いを叶えて貰えるのだ。名字はゴッドエデンには行っていないし(これ以上心の傷を増やしたり、体の傷を増やされるのを懸念したのだ、龍崎が)、フィフスセクターの一員としては頼りない物だったがこれも、龍崎が頼み込んで一員にしたのだ。家のソファーに名字を寝転がせた。「何処をやられた」「……お腹と背中、後は……覚えていないよ」素直に龍崎を信頼しているからこそ言えた言葉だった。龍崎はふぅーと息を吐いて服を捲った。「……酷いな、」そう言って、ちゅ、っとリップ音を立ててそこにキスを落とした。



「ひゃっ、龍崎?!」「大丈夫だ、何もしない、何も。俺はあんたを傷つけたりなんかしない。絶対に、」ちゅっ、またキスが降り注いだ。「うぅ、っ、龍崎ぃ〜……痛かったよぉ、お母さん、私の事嫌いなのっ、うぅ」泣きながら龍崎に縋る。龍崎は慈悲に満ち溢れた瞳で捉えた。「俺はあんたの事好きだけどな、べ、別に……あんたが泣いているからこういうこと言っているわけじゃないんだからなっ」そう顔を赤らめてツンデレな発言をすると、名字がいつもの龍崎だ。と笑った。「っ、漸く笑った……、ははっ、なあ、アイス食おう」さっき買ってきたアイスがとけないうちに。と付け足して、アイスを取り出した。



チョコのアイスを幸せそうに頬張る名字に龍崎が目を細めて見つめている。自分が食べるのを忘れる程には見とれている。「りゅーざき?食べないの?とけてきているよ?」ポタポタ。いつの間にか練乳のアイスがとけていて、龍崎の手を汚していた。「ああ、やばい。とけていた」名前が龍崎の手を取って練乳の味のする白いそれを舐めとった。「!?名前っ」「さっきのお返しー。えへへ、甘いね」練乳の甘さが名字の口内に広がった。龍崎は顔を真っ赤にさせて口をパクパクと金魚が餌を欲している時の様にしていた。「龍崎?」「だー!もう!可愛すぎる!駄目だっ!」「?」



よくわからないと言った様子の名字を強く抱きしめた。そして、唇に幼い子供のするような口付けを施した。「龍崎、大好き!」「ばっ!俺は、べ、別に……っ」「嫌いなの?」途端泣きそうな表情を浮かべた名字に慌てて龍崎が叫ぶように言った。「大好きっていうか愛している!お、俺にこんなこと言わせるなっ、わかっているくせに……」「だって、言葉で言ってもらえないと不安なんだもん」「……ばーか、言葉で伝えなくても伝わるくらい行動で示してやるよ」そう言ってまた口付けた。

あとがき
このもしもは考えたことなかったので新鮮で面白かったです。


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