僕達全部同じだよ (・アフロディで、夢主と七夕や星座について話をするという甘め) 七夕の日。短冊に飾り物を飾り付けながら照美と話す名前は所謂恋人同士だった。美しい容貌の照美が不意に思い出したように話しかけた。「そういえば、中国と僕の母国韓国だったかな、外国にも七夕はあるんだよ」「へぇ、照美って物知りだね」そういうと照れた様に少しだけ顔を赤らめながらそうでもないよ。と照美が言った。「僕の母国ではこの日は必ず雨が降ると言われているんだ」名前は天を見上げた。そこには満天の星空が広がっていて、まるで一つ一つが小さなダイヤモンドの様に輝いていた。満ちたる星々を見上げて感嘆の声を漏らしながら「今日は降っていないよ？でも、どうして？」と純然たる疑問を照美にぶつければ照美も一緒に成って寄り添いながら星空を見上げて口を開いた。 「それはね、一年に一回しか逢えない織姫と彦星がうれし涙を流すからだよ。だから地上に雨が降るんだ」「へえ、嬉し涙か……」成る程、納得と言った様子で、名前が数度頷くと照美が「そうめんでも食べながら一緒に星を眺めて話しようか」「なんでそうめん？」と疑問に思った、名前が尋ねると照美が目を丸くして「たなばたはそうめんを食べる日でもあるんだよ」と言った。そして、キッチンに向かって素麺を湯がき始めた。待っている間暇なので、願い事を書く名前。キュッキュッと油性マジックで何かを書いていたがそうめんが以外にも早く出来上がってしまったのでそれを隠す様に、後ろに隠した。 「ん？名前。また願い事を書いていたのかい？」「うん」「そうめん、持ってきたよ。食べようか」麺つゆをいれ、水で薄めてそうめんを浸して食べる。ツルツルとしたそれは簡単に、喉を通って行った。「美味しい」「それはよかった」照美も音を立てずにするするとそうめんを啜っていた。すぐに無くなっていくそれに、苦笑しながら「美味しいね」と言った。きっと照美と居るから美味しいんだ、と名前は思った。普段一人で何かを食べるときはいつも味気なく作業感すら覚えるのだ。照美が空に成った器と、そうめんの入っていたそれを片付けていく。「あ、洗い物は私がするよ！」照美ばかりに任せていちゃ悪いからね。と言って、パタパタ家の中を駆けた。照美は幼いその行動に笑みを浮かべて「じゃぁ、お願いしようかな？」と言って洗い物を預けた。 ☆ 洗い物が済むと照美が今度は星座の話をし始めた。「僕はね一番好きな星座は魚座なんだ」「どうして？」名前が色々ある星座のうちから魚座を選ぶ照美を不思議に思った。すると照美は「知らないのかい？」と逆に聞き返してきた。「何が？」というと照美がふふっと微笑んで「魚座にはアフロディーテが関わっているんだ」「え、そうなの？」「うん。ほら、僕ってアフロディーって普段言われているでしょう、親近感を覚えちゃって」そう言って星々を眺めながら呟く様に言った。「具体的にどうかかわっているの？」と名前が興味津々といった様子で尋ねると。照美は「アフロディーテとその子エロースがユーフラテス川のそばを歩いていたところ、ティホーンという化け物が現れてね。驚いた二人はニンフに助けを求めて川に身を投じたそうだよ。」「へぇー、照美って物知り〜」 「ある神話では二人を背負って二匹の魚が避難させたらしいよ」と続けた。そこまで言って一息つくと、短冊の存在を名前は思い出した。「あ、短冊。もう一つ書いたの思い出した」「ふふっ、奇遇だね」照美もどうやら何かを書いていたらしかった。二人して、何を書いたのか探り合いながら、笹につるした。そしてお互いがお互いの短冊を探して願い事を覗き見た。「へぇ、名前は僕とずっと一緒に居たいんだ」そう赤面するようなことを言うので、名前が負けじと「へぇー、照美は私と将来一緒に成りたいんだ」って言い返した。照美がそれに顔を熟れた果実の様に真っ赤にさせて、「悪かったよ」と言った。 一段落したら照美が名前に質問した。「で、今日一日過ごして、好きな星座は何か聞いてみてもいい？」わかりきった答えだな、と思いながらも名前は答えた。「勿論、魚座が一番好きだよ。照美が関わっている星座だもん！」「いや、僕は直接かかわっていないけれどね」と黄金色の髪の毛を夜風に晒して苦笑した。「とってもロマンチックだったよ。今日のお話は勉強にも成ったし……」そこで言葉を詰まらせた。それから最高の笑顔で「私も照美と将来一緒に成りたいな！」「！……君には敵わないな。一生敵いそうに無い。だからかな、大好きだよ」「そんなの私の方がもっと大好きだし！」と言うと照美が負けじと言い返す。 「いいや、僕の方が好きだね」「そんなことないもん」ぷぅーと頬を膨らませた、名前に照美が破顔して。僕の方がよっぽど君に夢中で大好きなんだけどなと心の中で言いかえした。勿論、名前はそのことを知らない。 Title Mr.RUSSO あとがき 照美ちゃんと言えば、魚座ですよね。 戻る |