言の葉の飽和




(・イナクロのチームザンに可愛がられてる天然夢主)


ザンのザンは残忍のザン説があるとも言われるが実際の所のほほんとした子が居るのをご存じだろうか。その子は天然で、何をするのも何処かふわふわ夢見心地の様な、地に足のつかない行動ばかりだ。ザンに属していながら壊すのは得意ではないし、寧ろ「壊すなんて可哀想だよ」って言うくらいなのだから。全く持って珍しい子である。そんな名前に皆はメロメロで、今はガロの肩車にキャッキャッはしゃいでいる。「どうだ〜!名前!俺の肩車は高いだろ〜!?」「うん!とっても!凄いよガロ!何でも高く見えちゃう!」「そーれ、走ってやる!」そう言ってガロが走り出した。キャーという面白がっている悲鳴が聞こえて、面白くなさそうにほかのメンバーが見ていた。その頃、スティアが紅茶とクッキーを持ってきて。



名前がガロに降ろして降ろして!とせがんだ。折角二人きりで、楽しんでいたのになぁ。とがっかりしていた。スティアは元々は良い所のお嬢様だったので、上品である。スティアが「名前、紅茶とクッキーよ。食べるでしょう?」と聞いて来た。「うん!勿論食べる!スティアの料理全部美味しいもん!」「ふふ、有難う」望外にも喜ばれたことに品がある微笑み見せた。スティアが、名前が食べようとしたのを制して。クッキーを一つ摘まんだ。「ほら、あーんして?」「あーん?」……なんで?って顔で、名前が口を尖らせていたら「いいから。今日は紅茶クッキーよ。食べたいでしょう?」「うん!あーん!」そう言って大きく口を開けた。



そこに紅茶クッキーをいれてあげる。スティアがいれたのを確認した後、サクサクと咀嚼しながら、顔を綻ばせた。「美味しい〜!流石スティア!」「紅茶もあるわよ」紅茶を急いで飲むと「あちっ」「駄目よ、冷まして飲まないと」と言った。どうやら猫舌の名前は舌を火傷したらしかった。そこで心配したロデオが近づいてきて、「おい、大丈夫か?舌、火傷しただろう?」「う、うん。でもふーふーしなかった私が悪いし……」と言って項垂れた、名前の肩をポンと叩いて「今薬貰ってくる、待っていろよ」と言ってその場から消えたロデオ。ものの数分で戻ってきて「ほら、薬だ」と言って薬を手渡した。「これ、苦くない?」「苦かったら、作ったメイアに文句言ってやる」そう言うと渋々、名前が口の中に薬を塗った。「あ、冷たい!味しないよ!」「良かったな」マスクで隠れて見えない口の部分が弧を描き、瞳をスゥと細めた。



お腹一杯に成ったら今度は眠く成ったらしく、「クラッチ、眠い」と言った。そういうとクラッチは膝を貸してあげる。と言って、膝枕の体制を作った。ポンポンと膝を叩くと、名前は膝に頭を預けた。それをずるい!と思うメンバーが沢山居ることをクラッチは知っていた。ガロがまたやってきて「俺の膝も使っていいぜ?」と提案してきたがクラッチは「男の膝なんて固くて眠れやしないよ」と一蹴してみせた、勝ち誇ったような笑みに荒くれ者のガロが破壊したい衝動に駆られたが、目の前に名前が居て、落ち着いたようだった。「畜生!普段は女らしくしろって言ったらキレる癖に!!」と誰もが思ったクラッチは此処でだけは女の子だった。



痩身のシンクがやってきて「ずるいんだけど!俺も名前の隣で寝る!」「膝は貸さないよ。床で寝な」とクラッチが刺々しく言うもシンクは全くめげる様子も無く、少し大き目のタオルケットを持ってきて、名前にかけて自分もその近くで丸まって枕に頭を乗せ眠りについた。「まるでこうしていると無害見たいだな、シンクの奴」ギガムが面白くなさそうに呟いたが今のシンクには届かなかった。羨望の眼差しで皆が見ている。そして、早く名前が起きることを望んでいた。それから、三時間後名前の瞳がぱっちりと開いた。クラッチが「起きたのか?」と尋ねると「うん!」とほんわかとした和やかな笑顔を向けた。クラッチが鼻を押さえながら「そうかい」と痺れる足をそのままに名前に「お腹は減っていないかい?今日はハンバーグだって言っていたよ」と言うと「わー!私ハンバーグ好き!」と本当に嬉しそうに答えた。



夕食の時間、名前の隣の席を争うものが絶えない。今日はロデオとスティアが勝ち取ったようだが。煮込みハンバーグを美味しそうに頬張る名前の口元に付いたソースをロデオが自然な動作で「口にソースついているぞ」と指で拭い口に運んだ。「有難う、ロデオ!」「うめぇ」「ロデオ、抜け駆けはよくないわよ」とスティアが注意するもロデオはわりぃわりぃと悪いと思っていないような様子でそれを退けた。「御馳走様!」と宣言して、お風呂お風呂〜と自前の歌を歌いながら風呂場に向かうとスティアとクラッチがついっていった。「私たちも入るよ」「皆で入ると気持ちいいもんね!今日も洗いっこしよう?」その言葉に男どもが悶絶したのは言うまでも無く、鼻血を出す物も現れるのだから、仕方ないの無い奴らだ。「洗いっこ、マジかよ……」ロデオが呟くとガロが「お、俺も女に生まれたかったと思ったのはこれが初めてだ……」と遣る瀬無さそうに呟いたのだった。

Title エナメル

あとがき
出る人が偏りましたね。


戻る

「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -