見つめあえる距離のまま




(黄名子(長いのでシチュ割愛))

今日のうちは絶好調!もちもちきなこもちもばっちり決まったし、剣城からもボールをカットした!「そっちに行ったぞー!」「頑張るやんね!もちもちきなこもち!」もちっとした餅が出現してボールをくるんと丸めて、頭上でバランスを取った。「今日の黄名子ちゃん絶好調だね」葵ちゃんがマネージャーの座るベンチで言うと作業していた名前ちゃんが「そうだねー」と何処か気の抜けた声で呟いた。あんまりこっち見てくれていないのかな?こんなに絶好調で格好いい所見せられるチャンスなのに!それにとっても絶好調で嬉しいやんね!練習試合終了まで待てないやんね!でも、我慢我慢。



練習試合が終わるやいなや「名前ちゃん!一緒に来てほしいやんね!」手を引いて、グラウンドまで連れて行く。困惑気味な名前ちゃんに必殺技を見せる。「わぁ!凄い凄い黄名子ちゃん!」「えへへ、名前ちゃんをいざって言う時守ってあげるやんね!」それを見ていた、その他のエキストラたち。天馬に剣城が「止めなくていいのか?」とか言っているのが聞こえた。天馬は「あー、うん……」と言って、うちらの様子を見た。名前ちゃんは本当に嬉しそうにこちらを見ていて凄い凄いと連呼している。えへへ、照れちゃうやんね。



うちらの様子を見ていて、何とも言えない雰囲気が漂い始める。言うべきだとか言わなくていいんじゃないという意見のぶつかりあい。結局何も言わない事に決めたらしい。女の子同士だからかな?少し変な目で見られちゃうのは。でも大好きな気持ちって、そういうので抑えられないの。うちは名前ちゃんが大好きやんねぇ!だから、一番に見ていてほしいし、一番格好いいって言ってほしいやんね!「どうどう?まだまだできるよ!やきもちスクリュー!」ぷくぅーと膨れたお餅の中にボールが吸い込まれて、西園君の所に飛んでいった。それを止めようとしたが今日の絶好調のうちを止めることは出来なかったようでそのままゴールに小さな体ごとゴールにした。



「凄い!黄名子ちゃん可愛い!」「えっ!格好いいじゃなくて……?」「うん、だって、黄名子ちゃんは女の子だから!」そういってはい、とタオルでごしごし泥がついていたのだろう顔を拭われた。それからスポーツドリンクを持ってきて手渡した。うちはキャップを開けて口を付ける。喉に冷たい液体が通って行く。ゴクリゴクリ。何口か飲んだらそれを返す。「ぷあー、美味しいやんね!やっぱり名前が作ってくれる、スポーツドリンクが一番おいしいやんね!」そういうと照れた様にうちの肩をはたいた。と言っても加減はかなりされていて痛みなんて無かったけれど。「もう、誰が作ってもそんなの同じだよ!黄名子ちゃんってば大袈裟なんだから」「大袈裟なんかじゃないやんね〜!」



練習終了後、あの何とも言えない雰囲気から脱して、二人で歩いていた。名前ちゃんの送りやんね!男たちや、暴漢とか変質者が出た時に格好良く守ってあげる為やんね。「もう、黄名子ちゃん、暗いから此処まででいいよ」優しい名前ちゃんは此処でいいって言うけれどそれじゃ駄目なんね。だって、名前ちゃんはとっても可愛いし、襲われたらひとたまりもないやんね。選手でもないマネージャーだから。本当は一緒に出来たらもっと楽しいとは思うけれど、怪我をしてほしくないからこれでいいやんね。うちの格好いい所見ていてくれるだけで十分幸せやんね。「だーめ!暗い所に連れて行かれたらひとたまりもないやんね!」「でも、黄名子ちゃんだって、女の子だから」



「それに黄名子ちゃんとっても可愛いし、危ないよ?」「そんなことないやんね!」そこからは、二人であーでもないこーでもない、と言い合って、結局答えに辿り着けずに笑い合った。「うち、名前ちゃんが大好きやんね!」「私も……黄名子ちゃんがす、好きだよ……?」思いが通じ合った瞬間だった。もう止められ無くてそのまま、頬を押さえて、顎を持ち上げて口付けた。ちゅっ。とリップ音を残して愛おしげに見つめ合う。きっと、うちらは異端なんだろうね。でも、愛しちゃったんだもの。仕方ないやんね。



「き、黄名子ちゃん……っ」「名前ちゃんが可愛いのが悪いやんね。謝らないよ……、そんな顔をしているともう一度しちゃうよ?」自分が何の為に此処にいるかとかわかっているけれど、全て承知の上だけど中学生のうちが可愛い名前ちゃんに恋をしたという事実だけは残っていてほしいな……なんて。窒息死しそうだよ、私の天使様!

Title 約30の嘘

あとがき
百合でよかったでしょうか?


戻る

「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -