グラデーションが溶けていく




(・鍾会夢入れ替わり夢。(舞台は三國でも、現パロでもどちらでも))


「えー、ですから、次の文化祭につきましては……」私が何故この場に居るのか、説明すること一時間前。「急げー!部活遅れちゃう〜」「次の文化祭の資料……ふむ」そこで、曲がり角で運悪く鍾会君と接触。頭と頭がゴチンと鈍い音を立てて意識は遠のいた。気づいたら、私と鍾会君の体は入れ替わっていて、私が生徒会の副会長として行く羽目に成り、鍾会君は私の代わりに部活に行く羽目に成った。そして、行く前に。「私の名誉を汚すような真似をしてみろ。その時は命が無いと思え」等と脅し文句を言ってきたのでこりゃ堪らんとばかりに私は無言で黙り込み。それを貫いていた。「鍾会殿、鍾会殿?」隣の姜維君に囁かれていた。「意見しなくていいのですか?この間コストがどうとか言っていませんでしたっけ?」「い、今、考えていた所だ」最大のピンチ到来。



だが、姜維君のコストがどう〜とかの発言で大体の事は把握したので手をあげ立ち上り「会長、失礼ながらその屋台はコストがかかりすぎるかと」と鍾会君らしく発言すると周りがざわめいた。静かに!と鍾会君が無能と呼んでいた会長が言った。そして「それもそうだな。流石鍾会君」と言われ難を逃れた。姜維君有難う!!それにしても、鍾会君はうまくやっているだろうか……。バレー部なのだが、鍾会君の事だ、きっとうまくやっているだろう。その後はばれないようにと傍観を決め込んでいたので、黙りこくって、手を遊ばせていた。ようやく皆が立ち上がったのを見て、終わったのだと思い立ち上がる。きっと鍾会君も終わっているころだろう。



「はははっ、私の今日の活躍は凄かったぞ。賞賛の嵐だったね。で、名前は失言等していないだろうな?」「あの屋台のコストがかかりすぎるとは言った」「誰の助言だ?」怪訝そうな顔をしていた。確かに、自分じゃそんなところにまで目が行かないから当然と言えば当然なのだが、姜維君の事あまりよく思っていないからなぁ、と渋っていたが「ああ。あの根暗か」と自分で察したようだった。姜維君は根暗じゃないやいと言い返してやると不機嫌そうな顔をしてさっさと元の体に戻るぞ。と言った。といっても、どうやって戻るのか皆目見当もつかないのだが……?と鍾会君を見上げればはぁ、と思いっきり目の前で溜息を吐かれた。



「そんなの、決まっているだろう。同じことをすればいい。あの時は確か曲がり角でお互い急いで頭を打ちつけたのだったな」私の体でこんな偉そうなことを言っているのと目の前に私が居るのに凄く違和感を覚えるが取りあえず試してみる価値はあるだろう。同じ場所にいって、全力で走りながら角を曲がると丁度鍾会君とぶつかり頭をゴチンとぶつけた。「いたた」「く、」だが、体は元のままだった。何度かそれから試して何度も頭をぶつけてああ、嫌だな馬鹿に成ってしまいそうだ。と思っていた時、ゴチン。ぷにゅ。何か柔らかい物が唇に当たった。そして意識が飛んで行った。



「おい。おい……名前!体が元に戻ったぞ!」「嘘!うあ、本当だ!嬉しい!でもあれだけ頭ぶつけて馬鹿に成っていそう」「私は英才教育を受けているから大丈夫だが」そこまで紡いで、鍾会君が顔を赤くした。夕暮れのせいで赤みがかって見えるのかなと思ったがそうでもなく「わ、私の初めての接吻が……」「あっ、やっぱりあれって、私の」ファーストキス……と泣きそうな顔で呟いた。だけど「こ、こんなの事故だよ、大丈夫だよ。鍾会君、ね?」「……こんな形で失うとは」だが、お情けの言葉は届かないらしかった。ぶつぶつと何かをしきりに呟いているようだったが、やがて何か覚悟を決めたような顔で私に言った。



「お前、私と付き合え」「えええええ!」どうして、ファーストキスからこうなるんだ!と私が慌てていたら。「え、英才の誉れ高き私と付き合えるのだ、嬉しいだろう?!」とやけに自信満々に言ってくるので、鍾会君らしいな。と思いつつ戸惑いを隠せずにいた。だって、好きでもない相手と付き合うだなんて鍾会君は少し可笑しいのかもしれない。あ、頭のぶつけすぎかな?「あの、頭ぶつけすぎた?」「煩い!違う!その……私の初めての接吻がお前で、凄く意識してしまって、あー!兎に角、お前は私との輝かしい未来が約束されているのだ。頷いておけばいい!」



此処まで言われてしまうと私まで照れてしまう。私は照れ隠しの様に俯く様に、一度頷いてみれば、夕闇に紛れる様に顔をあげさせられ、そのまま口づけられた。「これは、事故の接吻などではないぞ、私がしたいと思ったからしたのだ」ああ、心臓が煩いよ……。だって、鍾会君性格は少し難があるけれど、顔は滅茶苦茶いいんだもん、それでこの殺し文句でしょ。殺しにかかってきているとしか思えないよ。そして、私は事故で彼氏を手に入れたのだった。

Title 約30の嘘

あとがき
いれかわりって書いたことなかったですねぇ。お祝いも有難うございます。


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