永遠の先で拗ねている




(・お相手が神童くんで夢主が幼馴染の女の子のお話。舞台は戦国時代で、神童くんとお勝のことで悩む切なめなもの)


私は霧野と神童の幼馴染と言う奴だ。だが、この日程、幼馴染という立場を恨んだことはない。お勝さんは昔の人だと言うのに美しい美貌で神童と話している。神童も何処かぎこちないが、嬉しそうに真っ白い豆腐を貰って食べている。豆腐なんて現代では珍しくも無くパックに入って売られているが、この時代ではお手製で、美味しいらしい。といっても神童しか食べていないからわからないが。どうやら。お勝は神童が好きらしい。拓人様と呼び慕っている。私は可愛げも無く神童といつも通りいっている。それも嫉妬に拍車をかける要因に成った。「神童、今日もお豆腐貰ってきたんだ」「あ、ああ。豆腐なんて初めて食べたが、美味しいな」そうだ、神童は神童財閥のボンボンだったんだ。だから、豆腐なんて物珍しいのかもしれない。



「拓人様〜」お勝が神童を呼ぶ声がする。「霧野様が蹴鞠をしたいそうで」そう言って神童は「ああ、今行く」と言って立ち会がった。その着物の裾をどれだけ引き留めたかったか。私は歯がゆい思いをしながら、その場にとどまった。選手なら行くべきだったのかもしれない。だが、今神童に皆に見られるわけには無かった。暫くして、一つの影が差した。「名前様、行かれないのですか?」お勝だった。私は息を一つ飲んで、数を三つほど数えた。「あ、う、うん。ちょっと調子悪くて」「まぁ、大丈夫ですか?お休みに成られますか?」お勝は私の気持ちなど露知らず体調が悪いと断定して家に連れて行って(その間肩を抱かれて)寝かされた。



頭に濡らしたおしぼりを乗せられて「大丈夫ですか?」と尋ねられた。「ああ、うん……さっきよりだいぶ良く成ったよ」「それはよかったです」まるで天使みたいに笑うんだね。神童が惚れても不思議じゃないなと自嘲した。お勝になら、仕方ないのかな……と思った時、お勝が私の髪の毛を撫ぜて言った。「拓人様とは幼馴染だと聞きました。拓人様は昔どんな人だったのでしょうか、お聞かせ願えませんか?」神童の過去、か。「神童……いや、拓人は、泣き虫だったなぁ。私がきs……武士気取りで拓人をいつも泣かせる悪い子供を怒っていて……いつも、涙を拭っていたなぁ」思い出す様に訥々。お勝は興味津々で聞き入っていた。「そうなんですね。泣き虫だなんて想像もつきません、そんな拓人様もちょっと見て見たいです」



そう言葉にちゃんと表せるお勝に羨望の眼差しを向けて目を閉じた。……夢を見た。お勝と神童が仲良く二人並んで、弁当に入っている豆腐を食べて笑い合っている。「神童……」思わず声をかけた。その二人がまるで恋仲みたいで、苦しくて胸がはちきれんばかりに疼痛がして。眩暈すらして、チカチカ白と黒に色づいていく。花々は枯れ周囲の空気は濁っていく。二酸化炭素が充満して、息が苦しくなる。「神童……」「もう、拓人様」「悪い悪い」私の声は聞こえていないようだ、何度呼んでも反応しない事がそれを示していた。涙を流しながらグラリ傾く重心。そのまま頽れ、せめて、想いを伝えるべきだった。とさめざめと泣いた。「……さ、ま……名前様!」「!」揺すられて起きた。お勝が柳眉を下げて泣きそうな顔で良かったと言って魘されていたと言った。



「お勝は拓人が好きなんでしょう。何で言わないの?拓人だって、きっと」「いえ、私は違う時代の人間です。この思いは叶わない物なのです。せめて、せめて、私の子孫が拓人様と、と願うばかりです」お勝は諦めていた。何でそんな簡単に諦観できるのだろう。私は腹が立って「言えばいいじゃん!好きだって!お慕いしていると!」そう大声で言った時、ガラガラと扉が開いた。神童が帰って来たらしい。「し、神童。今の」「……!!」神童は居づらそうに目を白黒させて泳がせていたがやがて「ああ」とだけ答えた。「拓人様私、拓人様をお慕い申しております……!」さっき言えばいいじゃんと言ったから、言ったのだろう。気持ちを込めて。神童は固まって顔を赤らめていた、両想いだったのだろうか、と泣きそうになりながら顔を伏せていたら。「済まない」と言った。



「気持ちは嬉しいですが、俺は、名前を愛している」「?!」「今日、練習来なかった時、寂しかった。お勝さんが俺を拓人様と呼んでいるのに、俺をいつまでも神童と呼び続けられるのが寂しかった」神童の本当の気持ちを知った時お勝は寂しそうな微笑みを浮かべて「そうですか、そうだと思っておりました」お勝は全てを知っていたかのように身を潔く引いた。お勝は泣いていた。感情を抑えきれないと言ったように、ポタポタその雫を地面に落として形を失わせていた。



そっとしておこうということで、お勝を一人にさせてあげて神童と二人きりに成った。「良かったの?」「ああ、俺はさっきも言ったけど名前を愛しているから」「……私も」負けたと思っていた。何もかも駄目だと思っていた、だけど、この時代に来れて、私は幸せを手に入れられたのだった。


Title 約30の嘘


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