飛べない羽根なんていらない




(・ヤンデレなベータと恋人な百合夢)


名前が試合の時に相手にボールをカットされた時に転んだらしい。転ばせた相手はあの糞ナルシストガンマ。それだけでも腹が立つのに、上官だからと何も言えない名前にも腹が立った。私は急いで、名前を抱えて「私、この子の治療してきますね〜」なんて内心は怒っているのに穏やかな声を出して名前をそのまま救護室へ連れて行った。名前はおどおどと私の顔と、地面を見比べていたが、やがて諦めた様に地面を見つめたまま私について来た。救護室にて、私が直々に治療を施す。大きくすりむけてしまった、膝小僧は赤く血を滴らせていた。地面は人工の芝生なので、土などがつかないのが唯一の良い所ですね。私がゆっくりとそこに顔を近づけてペロリ、舌で舐めてみた。「ひっ!べ、ベータ様っ」「あらぁ、此処では二人きりですよぉ?ベータ、って呼んでくださいよ。いつもみたいに」



その間にもペロペロと滴る血を舐めとっていく。あああ、美味しい。名前の味、名前が私の体内に取り込まれていく。なんて甘美なんでしょう!名前はゾクゾクと震える体を両の手で抱きしめながら艶っぽい声をあげていた。何だか行けない気持ちに成ってしまうのですが、これはただの治療……。血を舐めとった後はきちんと絆創膏を貼って終わらせる。「っ、」だけど、ちょっとだけ許せない気持ちもありまして。名前を傷つけたのがガンマの野郎だなんて。本当……ずるい。名前を傷つけていいのは私だけなんですよ。だから、ユニフォームの上着を少しずらして首に思いきり噛みついた。ガブリ、大きな歯型がついてそこからまた血が滴る。「痛い!!ベータ!痛いよっ!!」「我慢してくださぁい〜」ペロペロ、と治癒をしながらガブガブ噛んでいく。痛いのとくすぐったいので身を捩る名前。



「痛い!ベータ!どうしたの、」「許せない……ガンマに傷つけられるなんて」狂気を宿した瞳が名前を捕らえた。え?とわけのわからないといった様子の名前が映っていた。「傷をつけるのは私だけで十分なんですよ、他の奴。ましてや、男に付けられる傷なんて一つも要らない!!私が!私だけが名前を愛しているのに!何で名前は直ぐにこんな傷を貰ってくるのですか!?いっそ、閉じ込めて誰にも傷つけられないようにしないとわからないのですか?!うふふ、嫌だな、怖がらないでくださいよぉ〜……閉じ込めはしませんって」閉じ込めはしない。ただ、今はまだ、大丈夫だと言い聞かせる。でも、その内に名前がこのエルドラドから消えてしまったら若しかしたら私のせいかもしれませんね。


「べ、ベータ……、どうして、こんなに病んでしまったの、私のせい、なの?」「病んだ?」何の事かわかりませんね。私は元からこういう性格でした。ええ、最初から名前を見た時から、この爆発してしまいそうな気持ちを隠してずっと生きてきました。名前と恋人に成れたのは本当奇跡だと思っていますよ。何せ私の恋心は死んでしまうものだとわかり思っていましたから。なのに、「格好いいベータちゃんが、大好きです」なんて頬を紅で塗ったように赤らめて言うものだから、その唇に噛みついてしまったのですよね。ああ、なんて可愛いのでしょう。私だけの名前!私だけの!私だけのもの!可愛い!ああ、どうにかなってしまいそうです。



「名前の血、美味しかったですよ?名前の味がしました。沢山噛むのだって、愛情なんですから。だって、他の男に傷つけられるのなんてむかつきますもん。でもこうやって、」ガブッ、また強く同じところを噛みつけば歯形がより一層くっきりと浮かんだ。赤い赤い呪縛(愛)の印。「痛い!何でこんなことするの?!前はこんなことしなかったのに、ベータ、どうしたの。どうして、」「あはっ、愛ですよ?これが私の愛情表現なのです。ほら、綺麗に歯形が付きました。それとも……名前は、こっちの方が良いですか……?」そういって、両手を頬について固定する。ちゅっと血の味のする唇を重ねた。ぬるり、舌で唇を舐めて唇を割って口内に入り込む。ゆっくり口を離せば驚いた顔の名前が固まっていた。「ああ、こっちも」



そう言って、首筋に強く吸いついた。ちくりとした痛みにビクンと肩が跳ねあがったのを見て口を離せばそこには、赤い花びらが乱れていた。「うふふ。これでガンマの野郎もアルファの野郎も手出しできねーだろ?」いい虫除けですよ、本当に。赤い呪縛は誰にも解けない。それにしても、密室で二人きり……もう少しこのままで居てもいいでしょうか。「アルファ様もガンマ様も私をそういう目で見ていないよ、どうするの、これ……」「別に男だけに限った事じゃないですよお?女だってどんな目で見ているかわかったものじゃないんですから」例えば私の様な女が存在するかもしれないし。私以外の奴に目移りしたら承知しませんよ?もう……二度と外のお天道様を拝むこと……出来なく成っちゃうかもしれませんねぇ……?なんて、今は冗談ですけど。今は。

Title カカリア


あとがき

ベータちゃんでヤンデレはそこまで書いたことないですけどお気に召していただければ幸いです。


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