君は攻略できますか?




(・夢主(アースイレブンのマネージャー)→ヒラリのラブコメ風百合)


私はアースイレブンのマネージャーをしている。平穏とはとても言えない毎日だったが、ある日突然に訪れた出会いに私は、心を射止められたのだ。そのお方の名前は、ああっ、口に出すのも恐れ多い!ヒラリさんと言うんです。彼女の長い艶やかで手入れの行き届いている、長髪。魅惑的な大人の色香を感じる唇、吸い込まれそうな程に妖美な瞳。私はどうしたら、この想いを伝えられるか悩んでいた。口で言うなんてとてもじゃないが、無理だ。彼女を前にするだけで私の足は地面に影ごと縫い付けられてしまったかのように動けなくなってしまい、口はまるで呼吸困難に陥ってしまったかのように。息をするのも忘れてしまう。もう此処まで言ってしまえばわかってしまうだろう。つまり、それほどまでにヒラリさんに夢中なのだ。



考えに考え抜いて。古風だが、手紙を綴ってみようと思う。内容は……。あー、駄目だ。此処が気に入らない、こんな文章では、ヒラリさんが大好きだって伝わりきらない。没!何度目に成ったかわからない没に成った紙をくしゃり丸めて、屑籠入れにほうった。僅かな角度のずれにより入らなかったそれに苛立ちを覚えながら、文章を推敲していく。「私は、貴女の事を一目見た時から、胸に強い疼痛を覚え、毎日貴女の事しか考えられません。愛しています。貴女は私にとって慈悲深い女神の様な存在であり、太陽の様に私を照らし、またある時は月の光の如く優しい光を放つ、私にとって酸素の様な存在です。どうか、私の気持ちを受け取ってください……」まだまだ、文章にはしたいが簡潔にしなければ、読んでもらえないかもしれないと懸念し此処で断念。詩人の真似事等私には、無理そうだ。



そして、ヒラリさんに直接渡しに行く。ヒラリさんは敵対している私の存在を見て、忌々しいと言わんばかりに意思の灯った瞳で見つめた。「何よ」私は必死で昨日考えに考え、練りに練った。一番真面と思われる恋文を突きだした。「あの、これ!」「はぁ?手紙?」怪訝そうにそれを取り敢えず受け取り、中身をその場で開封。ああっ、ひ、ヒラリさん!この場で見るなんて私の心臓がもちません!どうか、後でじっくりとその恋文を見てくださりませんか!?と思った矢先にはらはらり、紙が地面に吸い込まれるように落ちて行った。は?と私がフラれた?と行き成りの事に頭が追いつかずにいたらヒラリさんが嘲笑するように言った。「私、地球の言葉は読めないわ。出直しておいで」



ああ、なんて、ことだ。ヒラリさんは地球人じゃない事をすっかりと失念していた。詰まりこのこっぱずかしい、愛の籠った恋文もわけのわからない暗号にしか見えなかったのだろう。ましてや、日本語。地球の中でも普及しているであろう英語に中国語等というメジャーな言語ではない。読めないのは無理も無い事であった。私は踵返し背を向けるヒラリさんの背を見送る事しか出来なかった。だが、此処で諦める名前、もとい、私ではない。次の作戦を考えねば。うぅーん、女性には矢張り贈り物だろうか?といっても、ヒラリさんの情報はあまりにも、少なくてこの乏しい頭では考えることは困難だった。



こうなったらだ、イチかバチか。地球の文化、指輪でアタックしようじゃないか。そこで用意したこの指輪。ヒラリさんの白魚の様な指にフィットするかはわからないが、求婚したいほどに愛しているという事を理解してほしい。だって!ヒラリさんの住んでいる星の求婚のしかたとか文字とかわからないんだもの!こうなったら当たって当たって……砕けはしないよ?!私は絶対にヒラリさんと結ばれるんだ。異星人同士、女の子同士、それでも愛があれば全て乗り越えていけると思うのだ。うん……!頑張ろう。指輪の箱を強く握りしめて、自分を鼓舞した。こういう時に己の行動力を褒めてやりたくなる。早速、ヒラリさんに逢いに、ヒラリさんの宇宙船を尋ねた。



「ヒラリさん!」大声で呼びながら扉の部分を手の甲で何度も叩いた。ヒラリさんは酷く大儀そうに、緩慢な動きで私を睥睨して「何か用かしら?」と冷たくあしらった。だが、めげないのが、私。呼吸困難を起こしそうな程今、緊張しているけれどそれどころじゃないのだ!「ヒラリさん、これ!」「やだ。またわけのわからない、暗号じゃないでしょうね……」ヒラリさんがパカリ、指輪の入った箱を開けると少しだけ目が輝いた。やはり女性はこういうものが好きなのかもしれない。やった!「あら、これを私に?」ヒラリさんが受け取ってくれそうだ!「はい!」嬉しくて大きく頷けばヒラリさんがデザインをじっくり眺める様に指輪を見ていた。「中々いいセンスしているわね」



お褒め頂いた!「あの、地球では、だ、だ、大好きな人に指輪を贈るんです!私、ひ、ヒラリさんが、ヒラリさんを愛しています!地球人で、同性ですけど、この気持ちは嘘じゃありませんから!!」ヒラリさんがピシリと石の様に固まった。無理も無いか……と悲しい気持ちに打ちひしがれていたらヒラリさんの声が頭上から降ってきた。「まぁ、私に貢物をするくらいだし、考えてあげなくもないわ」神様、生まれたことに感謝いたします。


あとがき
ヒラリさんは女王様っぽいですよね。初めて書きました。


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