好きだなんて身勝手な感情だね



(洗脳/悲恋気味/夢主←メイア)


私は好きな人はギリスと名前って子。ギリスは男の子の中で一番好きだったから、手に入った時嬉しかった。だけど、私は同時に名前の事も愛していた。ギリスは酷く不満そうだったけれど、言っておくけれど貴方よりも好きなのよ?でも、名前は私を拒んだ。彼女はセカンドステージチルドレンには目覚めなかった。けれど、いつも私の事だけは歓迎してくれた。そんなの関係ないよってね。だけど「ねぇ、私名前の事が好きなの、その絹糸の様に細く艶やかな髪も濡れた様に黒い瞳も、桃色の唇も、ソプラノも、全部全部好きなの」そう言った瞬間、固まって「貴女にはギリスがいるじゃない、メイア、冗談はよして頂戴」と言った。嘘なんか一つもついていないのに。



「私はギリスも好きよ、でも、一番は貴女よ。名前が一番好き!好きなの!」名前の言葉を再生しようと思っても此処だけ壊れたカセットテープのように聞き取れない、うまく言葉を思い出せない。ただ、今傍に名前が居る事だけは唯一変えがたい現実だった。「メイア。彼女をどうする気?」ギリスが聞いてくる。あれ、私何をしたんだっけ?「メイア、彼女の感情を殺して、自分に向けても虚しくはないかい?」そう言われた瞬間にぶわあっと、記憶がよみがえってきた。そうだ、私は怒って、あの日彼女から記憶を奪い去った。そして、偽の記憶を埋め込んだんだった。



「メイア、メイア……」寂しげな声がする。とても尊くて愛しい声、紡がれる声は小鳥が囀るかのように狂おしい。そうやって、いつまでも私を探して、いつまでも恋い焦がれたような声を出していて、それを聞いて居たい。録音していつまでも聞いて居たいけれど、名前が可哀想だから出てきてあげる。「メイア!何処へ行っていたの?!」「ふふっ、ちょっと街までね」そういうと心底ほっとした様子で、「良かった、」と呟いた、本当に可愛い子なんだから。ギュッで抱きしめると体温を共有する形に成って。幸せも共有する。



「メイア、君は今幸せかい?名前が手に入って幸せかい?」「ええ、勿論よ。当たりまえのことを聞かないで頂戴」「そんな壊れた名前が手に入って幸せかい?」よく見るんだ、この惨状を。そう言われて漸く目を開いた。そこには壊れたおもちゃの様に何度も何度もメイアメイア、と呟くだけの精巧に出来た人形の様な名前が壁を背にして、座り込んでいた。「い、いや……!違う!違う!!」「メイア……」私はこんなこと望んでいないわ。私は欲しい物を手に入れたかっただけ、だけど、拒絶されたから洗脳して……、こんなの望んでいないわ!壊れた名前が欲しいだなんて一言も言っていないわ、欲張りな私への天罰かしら?そうなのかしら。

Title Mr.RUSSO

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