罪の数だけ嘘をつく



「またか。こんなギリギリの点なんか取りやがって」佐久間が悪態をつくのも無理はないだろう。無理を言って、佐久間に、自分の勉強を見て貰っているのに、こんな点数ではため息を吐くなと言う方が無理というものだ。ただ、女と言う生き物は、いや、総括してしまうのは申し訳なく感じてしまう。苗字名前という人間は、狡賢くて。本当はわかる、解ける部分をわざとはずしていた所がある。だから、この点数は狙って取った点数なのだ。帝国は元々文武両道の人間が多く、私自身の脳も思った以上には悪くない。ただ、そろそろ種明かししなければ、自分の将来が危ないだとか首を絞めているだとか思ってしまうのだが。要するに、私は、わざと佐久間との時間を作っている。



「何でだ?お前なら、名前ならば、もっと上の点数を取れるはずだ。それに、加えて俺が直々に教えているのだから、取れないわけが無い!」そう言って、机を軽く叩き名がら何故だ。と自答自問しているようだった。「ごめん、佐久間。思った以上に頭が悪いみたいで」そう言うと佐久間が私の肩を掴んだそして、俯けさせていた顔をあげた。「そんなわけがない。……。若しかして、だけど、若しも間違っていたならば申し訳ないんだが……これは俺の勝手な想像と言うか、今から言うのは妄想なんだが」



若しかして佐久間さっきの自答自問で気付いちゃったのかな?ひやひやしながら、だらりと流れる、冷や汗。一向に物言わぬ佐久間に痺れを切らして、佐久間に声をかけた。「さく……ま?」「……俺との時間を作るためにわざと頭の悪いふりをしていないか?」「!?」的中していて私はビクッと肩を揺らした。「あたりか、その反応。まぁ、別に俺も嫌じゃないけどな」「嫌じゃ……無い?」そういうと佐久間がクツクツと喉で笑った。ああ、いっそ嫌ってくれたならば楽でいいのにと思った。佐久間は笑いながら顔を近づけた。触れ合うか触れ合わないかの距離で囁く。



「俺も名前が好きだ、って言っているんだ。誰が、好き好んで、好きでもない女子の為に時間を割くと思う?」「あ……、」確かにそうだ。好きでもない女子の為にましてや、自分の時間も限られているのにわざわざ教えてくれるわけが無かったのだ。それから続けて追撃してきた。「それに、俺は正攻法の方が好きだ。まぁ、名前はいじらしいから、こういう方法しか取れなかったんだろうがな。俺は、名前が好きだ。お前の答えはわかっているよ」そう言って近かった距離が重なった。「今度からは自力でやってくれ。その代りの時間はこういう風に取ろう。その方がお前もいいだろう?」「う、うん……」佐久間の真剣な横顔が見られないと思うと少し残念な気もしたがよっぽどこっちの方がよかった。


Title 箱庭

戻る

人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -