破壊的願望を持つ恋心



私は、今日結婚する。円堂君っていう、中学生の頃から片思いしていた男の子と結ばれる。指輪を交換し口付ければ、騒がしかった景色は不意に静まり返っていた。名前さんが泣いている。何で泣いているのか、わからなくて、名前さん。と声をかけると、名前さんは目を円らかにして、流麗に「ええ、何ともないの。ウェデイングドレスあまりにも綺麗で、私も着られたらなって思ったくらい、今日の夏未は綺麗よ」本当よ、お世辞なんかじゃないわ。と寂しげに言うので、何かを含意していることくらい、私にもわかった。大抵の女性は大事な人が出来ると、同性の友達を大切にしなくなると言われているが、私は違う。



「ねえ、私たちいつまでも親友よね?」そう言った瞬間、玲瓏な瞳からポロリと一滴涙が、零れ落ちて行って、首を横に振った。ただ、しな垂れる様に言った。「それは無理よ」「どうしてよ……?」惑乱し、どうして、何がいけなかったの?今まで親友で通ってきた仲じゃあないの。「いつまでも……?ふふっ、笑わせないで頂戴」狂気を孕んだ瞳で見つめられて、一歩後ずさる。それに間合いを詰めてくる。ジリジリ、顔を近づける。「旦那さんも、親友も、だなんて、夏未はよくばりだね」欲張り?私は欲張りなんだろうか?円堂君も好き、だけど、名前さんも好きなのだ。意味合いは違ってくるけれど。



「私は貴女が好きよ、女だけど、貴女が好きなの。夏未、貴女は残酷だわ」「名前さん!」思わず大声をあげてしまった。「なのに、貴女は結婚してしまうから夏未。どっちかを選んで。私か、円堂か」「……、」「知っているよ、どっちを選ぶかなんて。友達なんて、所詮その程度の物よね。全部知っていたのこのシナリオを」中途半端にぶら下がっている。「知っていたの、夏未が円堂を好きなのも。だから、この結末は私の、神様のシナリオ通りなの。もう二度と連絡するつもりも無いわ、ただ、覚えておいて」



私が貴女を愛していたという事実だけ。

Title 彗星

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