迷子の彗星



(メンヘラ夢主)


子供の頃は自殺する人の気持ちが分からなかった。幼心に何でよりによって最悪な死を選ぶのか分からなかった。未来があるのに、きっと楽しいことだってこれから先沢山あるのに、何でよりによって死を選ぶのだろうと思ったものだ。そして、大人に成った今。私は死にたがりの大人に成っていた。精神を病み大量に処方された薬をオーバードーズして、死のうとしている。あんなに可笑しいの。って思っていたのに、私も今じゃ子供の頃の私が見たらきっと悲しむんだろうなって行為をしている。何故、此処まで追い詰められたか、思い出すだけでも吐き気がするのだが、要するに職場との折り合いが悪かったのだ。吐かないように気を付けながらそれをどんどんと嚥下していく。そして、私の意識が途絶えた。



「死にたがり、名前よしよし、」意識を失っている間に、私の部屋から移り変わり病院の真っ白い部屋で私は拘束されていた。手足が動かせないように固定されていた。「お早う」風丸君だった。風丸君は私の彼氏だった。よく出来た彼氏で本当自分にはもったいないくらいだったが、何故か知らないがとても愛されていた。だから、きっと救急車を呼んだのも彼だろうと思った。だけど、何故?私は死のうとする前に、彼には連絡しなかった。構ってチャンもいい所だろうと思ったのと本気だったのと。兎に角彼氏の風丸君には連絡しなかったのだ。



そんな中ふんわり優しく微笑んでいて、私の頭を撫でていた。ふわふわ、優しい手で泣いてしまった。「もう、会社行かなくていい」「何で?」「名前が死んじゃうからな」そう言った風丸君にそんなわけにはいかないと突っ掛ると目をまあるくさせてキョトンとした。「何で?」何でって、そんなこと言わなくてもわかるのではないだろうか。収入が無くなるからだ。収入が無い、ニートイコールの先には死がある。あ、私は元々死にたかったんだ。じゃぁ、いいじゃん。会社への恨みつらみを沢山書いてから死んでやれと思った時に風丸君が笑って言った。



「俺と暮らそう?もうお前の自殺未遂も見たくないし、防げるし、何より。俺が養ってやれば万事解決だろう?」そう言った風丸君に私は泣きたくなった。何処までも優しい風丸君。「どうして、」「そんなの決まっているだろう?俺が、名前の事を好きだからだ」その内結婚も視野に入れないとなと言った風丸君。こんなメンヘラ女貰っても幸せになんか成れないよ。と言えば、お前が居れば俺は幸せなんだって笑った。

Title 約30の嘘

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