汚染少女



クロノストーンで例の円堂が死んだ設定に成っていた時の話。


夏未夏未、泣かないで頂戴。円堂は死んだのよ、不運な事故だったわね。直ぐに忘れろなんて言わないわ、でも時がきちんと癒してくれるって、私は思っているの。酷い人だと沢山罵ればいいわ、私も円堂が死んでしまってとても悲しいとは思っているのよ。涙も数粒流したわ、お線香も上げたしちゃんと参列したじゃあないの。夏未悲しいのは一緒よ、そうだ、元気が出るように温かい紅茶でも入れるわ。寛いで待っていてちょうだいな。ああ、お待たせお待たせ、夏未はミルクティーで良かったかしら。うふふ、そうよね、私の家に来るときはいつもミルクティーを上品に啜っていたものね。



忘れろ、なんて酷なことは言わないわ、今すぐに忘れられるのならば皆そうしている。そんな魔法があるのならば私は夏未にきっとかけてあげているわ。私は夏未が泣いていると心臓が縮こまったように痛むの、疼痛かしら。この年で重大な病に罹ってしまったのかしら。嫌ね、冗談よ。でもね、夏未に笑っていてほしいのは事実なのよ。夏未はいい奥さんだったと思うわ、この年で未亡人だなんて、本当に同情を禁じ得ないもの。私なら耐えられないわ、そうね。家事だって懶惰だったわけでもなし。本当にいいお嫁さんだったと思うわ。きっと、円堂の奴だって、自慢したいほどに美人なお嫁さん貰ったって思っていたと思う。



ああ、ごめんなさいね、円堂の話題を穿り出しちゃって。今はそうね、円堂の事を一刻も早く風化させるべき、そう思うわ。ええ、勿論、夏未が中学生の頃から円堂の事を好きだったことは知っているわ、もうわかりやすいくらいだったしね。え、私は誰が好きだったか、かって?今は内緒よ、内緒。うふふ、少しは元気が出たかしら。私の恋はね、あまりにも報われなくて自殺をしてしまったの。一度ね。でも、それは自殺未遂でまだ、生きているみたいなの。ええ、そうよ、希望がまだあるってこと。でも、まだ時間がかかるかしら。



それに、夏未が悲しみに暮れていて、円堂が死んだばかりだというのに自分の恋愛を進める気にも成れないわ。そうね、夏未が円堂の事を少しずつ思い出に変えられていったら教えてあげるわ。あら、ミルクティーが冷めてしまうわよ。うふふ、温かいうちに飲んだ方がいいわ、体も温まるし少しは気がまぎれるっていうものよ。少しゆっくり此処で羽を休めていくといいわ、そう、お話しましょう。思い出話でもなんでもいいわ、夏未が元気に成るお話ならば何でも。



あら、もうこんな時間なのね。そう、もう帰るのね。あの家はきっと一人では大きすぎるわね。寂しくて思い出してしまうのじゃないかしら、私ならきっとそうよ、だって、眠るのにもベッドが広すぎるもの。どうしたらいいかわからないわ。あら、夏未、少し元気に成った?さっきね、少しだけ笑っているのを見たのよ。ええ、無理をしているのは承知の上よ。でもね、夏未の笑顔が見られてよかったわ、また、遊びに来て頂戴。夏未の心の隙間を埋めてあげたいのよ。美味しいミルクティーを用意して待っているわ。次はもっと、夏未の舌にあう上質な物を用意して。

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