無限ループ



源田君にまさかの愛の告白をされました。ありがちなシチュエーションで、夕日をバックに背負った源田君が夕日のせいではない、頬に朱を灯して。「好きなんだ、付き合ってほしい」……そして、私の残念な答え。「いや、その、ごめん。私……源田君とあんまり話したことないよね?」あの有名なサッカー部のゴールキーパーの源田君の言葉はとても…嬉しいのだが…申し訳ないけれど、あまり話したこともない男子と付き合うなんて、私には考えられない。だって、まともに話した言葉なんて多分「おはよう」とかそんなレベルだ。つまり、私は源田君のうわべしか知らない。何より、あのサッカー部のゴールキーパーの源田君と私は果たして釣り合うのか?何せ、サッカー部はイケメン揃いで有名だし。


「……そ、それは……その、恥ずかしくて話しかけられなかっただけで……」ぼそぼそとおおよそ源田君らしくない、言葉が聞こえた気がする。嫌、源田君らしいとからしくないとか、私にはわからないけれど、サッカー部のみんなはなんか、堂々としているというか……自信に満ち満ちているからなのだけど……これは偏見かもしれないけど。「と、とにかく……ご、ごめんね」私はゲームで言うところの「はい」と「いいえ」の中で「いいえ」を選択した。これで、フラグはへし折れた……悲しいけれど、仕方ないね。……もったいないことしたかも。一度言ったことは取り消せないので、私は背中を見せた。



しかしだ、フラグはへし折れた……はずなのにもかかわらず次の日も同じイベントが発生した。恐ろしい……。多分、私という名のゲームはバグを起こしたのだろう。同じイベントが発生するなんてどういうことよ。しかも、ほぼ同じセリフ。ああっ!もしかして、これが巷の無限ループ?!某有名ロールプレイングゲームでもあるが、「はい」を選択しないとイベントが進まないという例のあれなのか?!……ま、まさか……。目の前の源田君を目に入れながら頭の中の選択肢を覗いてみる。「はい」「イエス」「オーケー」という選択肢が並ぶ。


なんじゃこりゃ、こんな現実逃避をするレベルで私の頭の中は混乱し、惑乱していた。い、いや……だって、目の前の源田君は少しあれだけど……格好いいし、なかなか面倒見がいいらしいし。やばい、意識しだしたら止まらないぞ!「やっぱり……駄目か?俺はどうしても名前が好きで諦めきれないんだ」なんて、あり得ないような台詞を吐いている。ああ、もうこれ、絶対私の妄想だって。なんて、思いながら私の頭は勝手に頷いていた。勿論「はい」という意味で。


無限ループから抜け出す方法について、本気出して考えてみた。

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