サーナイト



私、大きくなったらサーナイトと結婚するの。今でも覚えている彼女の言葉、幼い主の言の葉。所詮、口約束に過ぎぬ、所詮大人に成ってしまえば気付いてしまう。ポケモンと人間は結婚出来ないんだ、と。ポケモンは使役される側で、人間の命令を聞いて動く人形のようなものなのだと。それでも幸福であったのを覚えている、幼い高い体温の中本当に結婚出来ればどれだけ幸せなのだろうと、偽りの幸福の中、本気で考えた。綺麗な夢の中でうずもれて死んでしまいたい。そう願うのは、彼女が大人に成ってしまったからだ。時の流れはただただ。無情に残酷に、



「サーナイト」「はい」テレパシーで言葉が通じ合う。「私ね結婚するの。あの彼と」ほら、もう夢から醒める時間だ。私はゆっくりと笑んで見せて、彼女を抱きすくめた。それから「テレポート」と呟いた。場所は何処だって良かった。だけど、ついた場所は暗がりの洞窟だった。ああ、丁度良かった。もう二度と彼女を此処から出すつもりはない。「さー、ないと?」「名前様。このサーナイト、永遠にこの場で名前様をお守りしたい所存です」ゆらゆら、ゆらゆら。揺蕩う水面を何度も叩き付けるように、叫んだ。「いやっ!!私は彼と!!」



「愛しています、名前様」

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