隼総



何処までいけるか試さないか、それだけの理由だった。少額の札と小銭を手にして、電車に乗って、ガタンガタン揺られた。行ける距離だけの切符を買った。中学生の行ける距離なぞ、たかが知れていると知りながら、不良の真似事だ。見知らぬ駅で降りて、先ほど適当にコンビニで買った弁当を適当に見つけたベンチに座って二人して食った。それが酷く美味しく感じられた。「何処にもいけないんだな俺たちは」あまり遠くになど行けなくて。でも、それが今の俺たちのリアルで。



「仕方ないよ、私たち中学生だもの。遠くに行けなくて当たり前」片道切符だからきっと、今頃誰かが探しているだろう、親かもしれない、先生かもしれない友人かもしれない。そろそろお遊びをやめて帰ろうか、行きは電車だったけど帰りは二人して並んで歩いて。来たときは、朝日がまぶしかったのに気が付いたら、ぐるりと表情を変えて真夜中に成っていた。

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