妙に手慣れたナンパ術




(・シードと暮らすで湾田と喜峰にナンパされる)


浪川君をフィフスの本部に送り届けた。今日は海王の、実力を測るとかなんとか言っていたから浪川君の仲間も今頃、頑張っているのかなぁと、まったり、自販機横を陣取りながら機械音に目を瞑り、体を少しだけ預ける。早く帰ってこないかなぁ。……暫くそうやって待っていたらやがて、ガヤガヤと大人数が通り過ぎていくような足音と声が聞こえて、ドアが開いた。「浪川君?」ようやく、帰ってきたと思い人を確認もせずにそう問えば。「ぶっぶー、はっずれー」なんて言われてしまって体が固まった。



「名前さん、久しぶり」「!……君は浪川君の所の」「そうそう、岬ね」……そんな名字だったっけ。私の記憶ではもっと別の物だった気がするのだけれどと、首を傾げてうーん?と思考を張り巡らせていたら隣の男の子が頭を軽く叩いた。「何、軽々しく名前で呼ばせようとしているんだよ!こいつは、喜峰な。俺は湾田」「あー。そうだそうだ。湾田君と、喜峰君だったね、ごめんね」人名を記憶するのは得意な方ではないので、ちょっと失礼だったかなと謝ると彼らはいいのいいのと笑って私の隣に腰を掛けた。「っていうか、浪川君は?」「キャプテンなんかいいじゃん。俺らと話すのは嫌?」喜峰君が首を傾けて、私を覗き込んできた。先程の非礼もあるし「ううん、そんなことはないけど」と言った。



言うように決して、そんなことはないのだけど浪川君が帰れなくて困るんじゃ、と思うだけだ。「名前ちゃん、難しい事、考えていると可愛い顔が台無しだぜ?」「名前ちゃん?!」「あれ?俺、変なこと言った?」「いや、名前ちゃんって……」シードの子ですら私の事ちゃん付けで呼ばないのだから、どう反応したらいいかわからないと素直な感想を送れば「まあまあ、いいじゃないの。一人くらいちゃん付けするシードが居ても」「でも、前はさん付けだったよね?」「あー、あれは、キャプテンが睨んでくると思って」あれでも、キレたら結構手が付けられないんだわーって言うものだから想像もつかなくて少しだけ笑ってしまった。浪川君が本気で怒って居る所ちょっと見たいかも。



「いやー、絶対此処にいると思ってきたから、ラッキーだったな湾田」「まあな」「……なんでラッキーなのか聞いていい?」「え、俺、本気でこの間アドレス渡そうと思ったのにキャプテンに邪魔されただろ?アドレス交換していい?」この子たちなんか、女性の扱いと言うか、そういうのに手慣れていて怖いな。と思いつつ、携帯を出して喜峰君とアドレスを交換した、湾田君が俺もついでにいいでしょ?名前ちゃんと言ってきたのでついでの形で交換した。



「なんか君たち妙に手慣れだね……、煽てるのがうまいというか。いつも、えーと、こういうことしているのかな?」「いや、していないけど?俺たちだって選ぶ権利あるしな、俺もそうだけど喜峰とか結構マジっぽいし」「俺?俺はいつだってマジだよ。マジじゃないとアドレスとか聞かないし?俺たちって思っているよりチャラくないしな」「そ、そうなんだ……」浪川君助けて……、と思い始めてきたところで浪川君が本当に助けに来てくれたようだった。ドアがけたたましい音と共に開け放たれた。「野郎どもおおお!ナンパすんじゃねえええ!!帰れ!二度と近づくなと言ったのに!」「わー!キャプテンがもう来ちまったー!」帰れと言われた二人が蜘蛛の子を散らすように逃げて行った。「?!浪川君、今まで何処にいっていたの?」「え、駐車場」……、此処で待っているって言ったじゃないの。……アドレスの事は黙っておこう。


あとがき
実は浪川君の発言自体が割りとフラグの事が多くて、フリリクを貰う以前に既にナンパ回があったりしました。最初は劣化する気がしたのでそのまま、出そうと思ったのですが、やめて新たに最初から書きました。楽しかったです、有難うございました!


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