たくさんのありがとうを




(・お日さま園の子と3TOPでほのぼの甘)


私は昔から体が弱かった。そのたびに、皆が集まって私の事の為にとやってくれることが大好きだった。皆、皆優しい私の大事な家族みたいなものだった。玲名は私が甘ったれている、体をもっと鍛えろなんて、叱りながらもちゃんと熱さましとか与えてくれて、マキはもー、しょうがないんだから、なんて言いながらも私にプリンや食べやすい物を買ってきてくれた。それから、晴矢と風介、ヒロトは付きっきりで私の看病をしてくれたっけなんて。遠い日の懐古をする。



「お前は昔からだらしがない」取り囲むようにして座り込んで私の熱を測ったり、忙しなく何かをしている人たちであふれている。昔の様に、体が小さいわけではないのでこの部屋は小さく感じられるけれど昔からこの空間は嫌いじゃなかった。玲名が仕方ないなと、熱を確認すると立ち上がった。昔から世話焼きな所は変わらない。お前限定だぞと、笑うけれど玲名が本当は優しい事を私は知っている。どうやら、食べやすい物を買いに行ってくれるそうだ。マキが続くように立ち上った。「マキもとろとろプリンたべたーい!だから、一緒に行くね!名前が早くよくなりますよーに!」そっと、おでこに手を当てて祈るように言ってから出て行った。マキは昔から自由気ままだ。だけど、そんなところに救われている自分もいたりした。



残ったのは、晴矢と風介とヒロトだ。最終的にこの三人はいつも私の、看病に回ってくれる。晴矢なんてそんなキャラじゃないだろうと毎回、思うのだけれど失礼に値するだろうし、何より心配そうにそわそわとして風介やヒロトにもう少し落ち着けなんて言われたりするのだ。まるで、出産を待つ父親の様だとすら形容され馬鹿にされるのだ。それに晴矢は毎回激昂するのだが、私が少しげほついたりしたら直ぐに、目が覚めた様に大丈夫かと背中をさすってくれたりなんかする優しい面がある。



風介は冷静なように見せかけて、実は結構心配性で、すぐに薬を飲めとかこれはよく効くぞなんて苦い薬を勧めてくるので、嫌がらせなんじゃないかなと思う節があるのだが、厨二の病は相変わらずの様だ。今日も苦そうな薬を進めて良薬は口に苦しとかリュウジのように言うものだから風邪をひいているという事実も忘れてむせて咳き込んでしまった。いつからリュウジに成ったのだろう彼は。そういえば、リュウジは今日の夜から見舞いに行くからねと言っていた気がする。彼も心配性の一人である。



ヒロトも割と冷静に見える一人である。晴矢のようにそわそわしたりしないし、風介のように苦い薬を勧めてくるわけでもない。ただ、じっと傍に居て私の手を握ったりして、早く良くなるといいねなんて、悩殺スマイルを向けて、私の傍に居てくれるだけだ。それなのに、うるっと来てしまうのだ。全く病は人の心を弱くしてしまうというのは本当だと思うのだ。付きっきりで居てくれて、起きた時にヒロトがベッドに伏せたままってことだってよくあることだ。



玲名たちが帰ってきた。ドアの重音と、マキの少し慌てたような足音が聞こえたからだ。玲名は呆れたように少しは静かにしろ。病人が居るのだぞ、とマキを宥める声が聞こえてきた。とろとろプリンはあったのだろうか、あれは私の好物でもあるのだ。「名前が風邪をひくと皆集まるのは昔っからだよな!」「……仕方あるまい。こいつは私たちがいなければ、まともに風邪も治せやしないのだ」「……早く良くなるといいね」三者三様であるが、昔からなのは事実なので何も言えなかった。「皆、名前が大好きなんだよ」そんな声が聞こえて、髪の毛を誰かにくしゃくしゃと撫でられた。ああ、そうか、私も皆が大好きだよ。

title 箱庭


あとがき
3TOP書いたことないですね。直ぐに風邪ネタにしようと決めました。エイリアは女の子が大好きだったりするので、女の子を投下してみました。甘いかわからないのですが、お気に召したら幸いです。


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