ベビーブルーの空に飛べ




好きな人の顔を毎日見たいとか、美男子に癒されたいとかは女性の多くが望んでいることだと思う。そこでだ、格好いいと噂の周瑜殿を馬岱殿に描いてもらおうと頼み込んでみたらうーん、と考え込む仕草を見せて「どうしても?」と尋ねてきた。どうしてもと言う程でないが私の様な独身女性で寂しい身の上の者には目の保養と言うものが必要なのだ。「次の戦の士気は必ずあがるかと」「ふぅーん。まぁ、蜀の人じゃないからね、ちょっと時間かかるけど、頑張って期待に応えちゃうよ〜!」馬岱殿はいい人だ。あれから、一週間連絡はないが、順調なのだろうか……と考えをはせていた所、伝令の兵がやってきた。



出来たのか、と椅子から立ち上がり受け取りに行った。馬岱殿は部屋で待っていて、私が来たのを見て、ニッコリ破顔してみせた。そして、冗長に「えーと、あーのね」とか喋りながら、絵をみせたがらなかった。後ろに隠していて、少し照れたような様子で煩悶していた。「あーもう!俺っ!これっ!飾ってよぉ!周瑜殿じゃないけれど!」そう言って渡されたのは紛れも無く馬岱殿の、絵で。「へ?何で?」周瑜殿を描いてくれると言っていたのに、とか、何で馬岱殿の絵?とかはてなを飛ばしながらそれを飾るべくして部屋に戻った。壁にかける。



馬岱殿は、確かに顔は整っているがちょっと顔が濃い。目は綺麗な宝石をはめ込んだかのような澄んだ目をしている。いやだ、まるで馬岱殿に恋をしているみたいじゃないか。だけど、この絵を見ているとドキドキと心臓が煩くなってきた。翌日、馬岱殿に絵を返しに行った。「馬岱殿やっぱりこの絵を返しますね」そう言う途端馬岱殿の顔が暗く陰った気がしたが一瞬だった。「やっぱり周瑜殿には勝てないよね〜!あはは、じゃぁ、書き直すね!」「そ、そうじゃなくて、周瑜殿のも要りません!」ってはっきり告げると馬岱殿が瞬いた。「え、何で?」「何でって……」



この間と逆転してその、とか、あの、とか私がしどろもどろに成る番だった。「馬岱殿の絵を見ていたらドキドキしちゃって!あー、もう!兎に角駄目なんです!」「えっ?!俺の絵で?それは嬉しいなあ!これって、脈あり?って奴でしょ?!若にも報告してこよう!はい、名前殿。この俺をこれからも可愛がってね!」そう言って颯爽と飛び出していってしまった。馬岱殿の絵を開く、やはり胸が逸るのを感じた。ドクン、ドクン、煩い。これが、恋だと気付くにはもう暫くかかりそうだった。

Title カカリア


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